2017年の活動が特に楽しみな4組+α

2016年初に今年活動が楽しみな人たちをまとめていたので今年も書いておこうと思う。

かもめんたる
単独ライブの面白さが随一。というか日本一。同時代に生きていて、生で公演を観られるというこの幸せにもっとみんな気づいてほしい。劇団かもめんたるの公演も楽しみ。今後必ず演劇界にも衝撃を与える作品を作るはずです。今を見逃さずフォローしたい。演劇に関してはもっと彼ら自身が同時代の優れた作品を見極める鑑賞眼を磨いてほしい。面白い人達と出会って、いい環境に恵まれた作品作りをしてほしい。

しずる
よしもと所有の劇場以外で行う単独ライブが素晴らしい。劇場はどうやって選んでいるのだろう?公演全体をプロデュースする優れたスタッフがいるのだろうか。ふたりとも書き手なのもまた面白い。特に、池田一真さんはもっと注目されて良い作家兼演出家兼プレイヤーです。つまり万能!幅広い作風にも注目!

犬の心
よしもと所有の劇場以外で行う単独ライブのシリーズがどうやら終了してしまったようで、それは少し残念ですが、2017年の単独ライブもすでに6月3日と決定しており、とても楽しみです。いけやさん単独の仕事が多く、押見さんに時間があるようですが、マンボウやしろさんの告別ショーのようなイベント的なコント公演や、押見さんが作演出するコント公演をもっと観たいのでやってほしい。

チョップリン
活動の情報がとても少ない。関西ならもっと観る機会があるのだろうか?コントがめちゃくちゃ面白いのに活動がこれだけなんておかしい。2016年観たコントの単独ライブ中、一番面白かった公演のうちのひとつがチョップリン。東京でもっとたくさんコントをしてほしい!

他には、GAG少年楽団だーりんずなど。漫才師は、昨年はコマンダンテのみだったけど、暮れのM-1で改めて和牛が面白いな、と思ったので、和牛なるべく見逃さずに見に行きたい。2017年、東京で単独ライブはやるのだろうか?それから、インディアンスの活躍に期待!そして、コマンダンテが4月から東京に来るそうで、観られる機会が増える!コマンダンテと他の芸人との関係がどんな感じなのかも気になる。コントに比べて漫才の方が、アイドルを眺めるようなうっとりした気持ちで何も考えず感性で観てしまう。楽しい。

2014年からオリエンタルラジオのトークライブに行くなどして活動を見ていた。2014年の10月のトークライブで、歌って踊るのが得意で楽しいから、そういうコンテンツを作る、ということを話し、今後毎月のトークライブでつくったコンテンツ(曲)を発表して、最終的にはライブハウスでイベントを行う、ということを目標として掲げていた。歌って踊るために結成されたのがRADIO FISHで、いくつか曲をつくっていく中で生まれたのがPARFECT HUMAN。確か、PARFECT HUMANは、最初に掲げた目標の、2015年末のライブハウスでのイベントで披露されたものだったと思う。一つ一つ、掲げた目標を達成していくという、実は地道な活動の結実として、RADIO FISHがブレイクした。オリエンタルラジオは本当に自分の掲げた目標を着実に達成していて尊敬。ブレイクまでの経過も全部エンターテイメントになっていた。毎月、無限大ホールに集まる観客を全力でもてなしていた。開場中にラジオめいたものを流してみたり、直筆メッセージのコピーをアンケートとともに配布してみたり、毎月ファンに向けたグッズを発売したり、ライブの内容も武勇伝にトークにプレゼンに歌にコーナーにと盛りだくさんで、終演後には観客と握手もするし、写真も撮るという、テレビでも大活躍の芸能人とは思えないようなホスピタリティで、いつも同じ構成ということでもなく、毎回試行錯誤の跡が感じられて、無限大ホールにあつまるたった300人足らずの観客をとにかく全力でもてなしていた。オリエンタルラジオは本当にエンターテイメントのプロフェッショナルだ。2016年は、トークライブには仕事の都合で行けなくなってしまったので、活動を追えなくなっていたのだけど、必ずまた新しいことを考えるはずなので、またあの白熱を間近で観に行きたい。

2016年を振り返る

今年見たもの…合計183本
お笑い・演劇などの公演168本(うち演劇73)
映画11本
そのほか4本
面白くないものもたくさん見た。自分の好みではなさそうだけど話題になっていて、まだ一度もみたことがない団体の公演は観に行くようにしている。実際に自分でみてないのに「面白くない」と言えないからだ。

面白かった演劇公演
玉田企画『怪童がゆく』
ロロ『校舎、ナイトクルージング』
テスト・サンプル04『ひとりずもう』
ハイバイ『おとこたち』
Wけんじ企画『ザ・レジスタンス、抵抗』
東葛スポーツ『東葛沈没』
マレビトの会『福島を上演する』

お笑い系公演を振り返る
かもめんたる単独『なのに、ハードボイルド』(2月26日)
しずる単独『be born baby』(8月5日、8月7日)
チョップリン単独『素人の日常』(8月7日)
今年はこの3つが飛び抜けて良かった。

ラブレターズ単独『Twilight Zone』(1月21日)、ラブレターズ60分ライブ『愛のために私は死ねない』(4月28日)、ラブレターズ60分ライブ『最低、私の言ってる愛じゃない』(7月24日)ザ・ギース単独『トロピカリア』(6月28日)、ASH&D主催の公演は公演としての満足度が抜群。コマンダンテコレクションin Spring』(3月6日)、三本立ての公演。コマンダンテが来春から上京かぁ。どのよしもと劇場を拠点に活動するのだろう。インディアンスのように無限大?。リンゴスター単独ライブ『ドラムは叩けません。』(3月12日)、これがリンゴスター最初で最後の単独ライブになるとは思いもよらず。2016年は、年始に巨匠が解散、年末にリンゴスターが解散という年。チョップリントークライブ CARD』(4月29日)、チョップリンが東京で行う数少ないライブ。2017年はもっと東京に来てほしい。『フルコース1000円』(5月2日)、だーりんず、ロビンフット、チャーミングの3組のライブ。SMAは面白い人ばかり、と今更気づく。特にだーりんずが面白い。KOCも決勝進出してよかった。マンボウやしろの告別ショー2016『サイコロ出鱈目』(7月17日)、サイコロを振って演者が登場するまでの一連の演出がすごくかっこよかった。興奮した。今年一番のワクワク感だった。マンボウやしろさんは芸人をやめて脚本家になるそうだ。これは最後のライブだったんだな。キングオブコント準決勝1日目』(9月8日)、キングオブコント準決勝2日目』(9月9日)、今年は圧倒的に1日目が面白かった。比較すると1日目だけど、2日間通して1年で一番おもしろいコントが見られる場所に変わりない。犬の心単独ライブ『新宿ひと吠え』(12月3日)、よしもと以外の劇場での公演シリーズは一旦終わったのかな。ルミネtheよしもとでの公演。ルミネtheよしもとはコントを観るには全くいい劇場だと思えないけど、すでに次の単独ライブが2017年6月3日と決まっているようなので楽しみにしたい。ほぼ月いちのかもめんたるコントライブin喫茶茶会記』、どうしても外せない仕事以外は優先して行った。本当に貴重な場で、過去のコントの再演がじっくり見られるし、トークもかもめんたるのペースで聞ける。かもめんたるファンにとって最高の公演です。こちらも月いちの『SIX GUNS』、今年の5月から始まった、しずる、ライス、サルゴリラの3組のユニットライブ。ライスがKOC優勝して以来、チケットが取りづらくなった。次回やるユニットコントの脚本担当を毎回あみだくじで決定している。しずる池田作のユニットコント(新作)が観られる可能性の高い貴重なライブ。隔月の『しずるのトークライブ』、しずるの仕事の動向や今何を考えているのかを知れるトークライブ。飲んだり食べたりしながらみるライブ。『テアトロコント』渋谷コントセンター時代からの支持者としても、演劇・お笑いのファンとしても毎回外せない。

来年もたくさん観る。おもしろものばかりみようとしないで、玉石混交のままみるのが面白い。

2016年12月14日 サニーデイ・サービスTOUR2016

12月14日(水)の恵比寿リキッドルームで19時からのサニーデイ・サービスのライブに行った。

6月、YATSUI FES で初めて生でサニーデイ・サービスを観て感動してしまって、その高ぶりのままツアーのチケットの抽選に申し込んだ。8月、『DANCE TO YOU』というアルバムが出て、サニーデイ・サービスが好きだ!という気持ちがまたさらに盛り上がって、そうこう日々を過ごしているうちにあっという間に12月14日!半年前にチケットを買っておいてよかった!

フェスなどではない、好きな音楽のグループ(と言っても、サニーデイ・サービスの他に好きな音楽の人はあまりいないけど)のライブに行く、という経験が初めてだった。なんかとてもドキドキした。会場でどうやって過ごすのが快適なのかわからず、とりあえず荷物を全部ロッカーに入れて財布だけ持った。財布はジーパンのポケットに丁度収まって、丈がやや長めのセーターを来ていたので財布とポケットがうまく覆われた。番号が呼ばれて入場した。ドリンクチケットを流れでアルコールと交換した。今後は開演前に水分をとるのは、移動できないのでやめようと思った。何も考えずに来たけど、足の痛くならない靴でよかった!なんだかかなり前の方だった。前から二列目。楽器とマイクはすでにステージにセッティングされて置いてあった。ここに曽我部さんが立つのか、すごく近いな〜、と思った。開演までの1時間、立ったままずっと待った。

開演して演奏が始まった。『DANCE TO YOU』の曲を中心に進む。セツナは2回演奏した。すごい熱量だった。この人達はロックバンドなんだよなあ、と思い直した。途中、曽我部さんと田中さんの二人で何曲か演奏する時間があって、「枯れ葉」、「夜のメロディ」などを聴いた。しみじみとした。田中さんが喋っているところを初めてみた。のんびりした感じの雰囲気の人だと思った。観客からのリクエストで「成長するってこと」もやっていた。この二人に、ドラムの丸山さんがいて、三人がサニーデイ・サービスなのか、これがCDのジャケットで観ていた3人(のうち2人)なのか!と思った。(ドラムの丸山さんは体調のことで休業中だそうだ。)

聴いたものを書いておかなかったから、記憶が曖昧になってきたけど「恋におちたら」とか「白い恋人」をやっていたと思う。「テーマ」「スロウライダー」「あじさい」も。「シルバー・スター」「若者たち」「月光荘」もやってたような…。「スロウライダー」の「見て 超特急が(いいな〜)」というところがとても好き。『DANCE TO YOU』の曲もどれも素敵だった。「パンチドランク・ラブソング」にとても高揚した。「桜 super love」の演奏前に、曽我部さんが「いい曲ってなんでもない時にふとできる」みたいなことを言っていたなぁ。

このあいだ、『DANCE TO YOU』を買ったときにも書いたけど、今のサニーデイ・サービスに、10年以上前に好きだったときのサニーデイ・サービスに対するのと同じ気持ちが蘇ってくる。それは懐かしさということではない。あの時魅力に思っていたのと同じひたむきさと情熱を今のサニーデイ・サービスから感じる。いつもの日々が新鮮に思えてくるような音楽だなぁと思う。時間を経て、またもう一度、今度はリアルタイムで、サニーデイ・サービスが好きでいられるということは特別なうれしさ!もちろん今までも、これまでのサニーデイ・サービスの曲は時間を経てもずっと好きだったのだけど、それと同時に、目の前で進行している新しいサニーデイ・サービスが好きでいられるということが一層うれしい!

なんにしろ、すごく楽しい時間だった。サニーデイ・サービスのライブには必ず行きたいと思った。

サイトにセットリストがアップされていた!
http://www.sokabekeiichi.com/news/2016/12/_liveup_tour_2016.html

9月〜12月10日までに観たものについて(2016年9月-12月10日)

キングオブコント後に一度もブログを更新していなかった。9月〜12月10日までに見たもので一言書いておきたいものについて。

10月7日『主人がオオアリクイに殺されて1年が経ちました』@俳優座劇場

かもめんたるが出ているので観に行った。観る前から、面白いと思えるものではないと充分にわかっていたけど、かもめんたるがどんな演劇に出て、どのようなことになっているのかは、演劇とお笑い、特にかもめんたるが好きな自分にとっては、観たくなくても観なければならないと思った。冒頭のシーンが始まって、まずは槙尾さん含め半数以上の役者が登場。何一つ面白いところがなくて、というより面白くないところしかなくて、血の気が引いてしまった。槙尾さんは、周りの環境に馴染むのが上手そうなので、想像の範囲内だった。う大さんがこの空気の中でこれから登場するということが、私が好きなかもめんたるが、私にすら面白くないように見えてしまうのではないかということを想像して、血の気が引いていた。そしてう大さん含め残りの役者が登場した。う大さんはう大さんなのだった。あの雰囲気の中でも、傷つくことなく揺るがない魅力があって安心した。う大さんのつくる空気だけ面白く思えた。それにしても、かもめんたるレベルの俳優がこんな演劇に出るということがおかしい。チョイスを間違えていると思う。かもめんたるというブランドに傷がついている。かもめんたるは演劇を作ることを志しているものの、演劇を選ぶ眼力がないのだと思う。というか、能動的にあまり観ていないのだと思う。もっと観て、自ら選ぶべきだと思う。もしくは、作ることにこんなにもまっすぐな人たちでも、こういうものに出なければならない事務所とのしがらみがあるのだろうかと思うと悲しい。

10月9日テスト・サンプル06『ひとりずもう2』@早稲田小劇場どらま館

二回目の「ひとりずもう」。サンプルの俳優のショーケースであり、「一人芝居」であることから笑いとも切り離せない演目が多数。今回は特に奥田さんの禁欲的な演技が面白かった。特に序盤はずっと見ていられるディテール。好みから言うと、終盤の方で守護霊の話になった時に、観客と共有しやすい「おかしさ」に歩み寄ったような感じがして、ちょっと大げささを感じて、もっとささやかな違和感の「おかしさ」のレベルでもっと見ていたかった。古屋さん、松井さんのは、前回より観客に歩み寄って、より、自ら笑いを起こそうとしているようにも思えた。ふたりとも、おかしなできごとを引き起こしているのにもかかわらず、本人は大真面目なのだから可笑しい。野津さんの演目は、チェルフィッチュ的な手法を工夫なくそのまま借りてきたように思えて、特に面白くは思えなかった。辻さんの演目は、いかにもありえそうな生活の生々しさが好きで面白かった。『ひとりずもう3』、またぜひやってほしい。

10月27日『来てけつかるべき新世界』@KAAT

学生時代に観て、あんなに面白かったヨーロッパ企画を、あまり面白いと思えなくなってしまっていた。これは、ヨーロッパ企画が面白くなくなっているのではなく、私の好みが変わってしまったのだ。一つ一つの演技が大きく見えて、台詞の不自然さが気になってしまった。クサイ演技だと思ったのだ。大げさだなと思ってしまったのだ。そんな点をあげつらうものではないことはわかっているけど、そういう自分の好みが細分化していることについて、本当にいいことなのかな、と思った。

11月14日新聞家『揃う』@Arts Chiyoda 3331

初めて新聞家を観た。途中寝てしまった。寝てしまったので大きいことは言えないけど、とはいえ印象だけ書いておこうと思う。私はよく演劇を観ていて、これって俳優を使って演劇という表現方法で観るべきものなのだろうか?と思うことがある。新聞家の上演は、台本を読めばいいのでは、と言える気がしたけど、これは演劇で観るものだと思った。自由な速度で自由な抑揚をつけて勝手に台本を読むという体験とはまったく異なる、俳優からもたらされる細い細い表現で受け取り、受け取った情報から観客が想像を膨らませてしまうという手の加わった自由さ(不自由さ?)、みたいなものと、読み飛ばしてしまいそうな小さな表現も必ず受け取らせる不自由な速度が、演劇体験の時間だなという感じがした。そういう点で面白く観た。ファイヤーキングのカップ、とか、九谷焼のカップ(だったか?)、とか、ブラウンの時計、とか、固有名詞が多く出てきた。そのあってもなくても良いと思えるような固有名詞が、私はなんだか鼻についた。なんだか衒いを感じてしまった。このことは私のとても個人的な感傷かもしれない。もう一度観に行こうと思った。

11月18日マレビトの会『福島を上演する』@にしすがも創造舎

空気を吸うように自然な気持ちでとてもおもしろく観た。好みに合うということはこういうことだと思った。毎日違う演目を上演したようだけど、この日しか行けなかった。俳優の演技からもたらされる情報が少なく、のめり込まずに観る、観察するように観る、この引いた感じが好きだった。「湯気、道くさ」とか「笑い声」とか、劇中の当事者にとっては大問題だったり、ただの日常だったりすることが、観ている人にはおかしく思えてしまうような距離感が好きだった。

12月3日犬の心単独ライブ『新宿ひと吠え』@ルミネtheよしもと

ルミネtheよしもとは漫才のための劇場設計だと思う。コントを観るには客席に傾斜が少ない。椅子に座って会話が進むコントなんて、場所によっては演技が見えない。いいなと思う劇場で感じる、空間のギュッとした感じもまったくない。犬の心の単独ライブ『新宿ひと吠え』は、面白かった。けれども、これまでの素晴らしい単独ライブの数々を思い起こすと、とても物足りなさを感じてしまう。コント1つ1つの完成度だけではなく、体験として「とても良かった!」と感じる満足には、一つの公演としての完成度が必要なのだ。フライヤー、パンフレット、映像に至るまで、一つの公演として一貫したデザイン。劇場という場所のもつ密度!複数公演!こういったことは複合的に公演としてのクオリティを格段に上げていると思う。そして犬の心はそれだけの人がかかわって作り上げる公演で観る価値のある数少ない素晴らしいコントを作っている。私はタレントの知名度でチケットを払うのではなくて、公演としてのクオリティの高さに5,000円でも6,000円でも払いたいと思います。

9月〜12月10日は他にもたくさんのものを観ました。映画は4本、演劇は26本、お笑いは24本。つまらなすぎて悪口を書きたい衝動の公演もたくさんあります。でも、そんなことを書くべきなのか、迷って書かずにいます。好きだから書ける「面白くなかった」ではない、好きでもないし面白くなかったという感想を書くべきなのかどうか。(さすがに悪口を書かないまでも。)

キングオブコント2016決勝の感想

昨年は、決勝のスタジオの雰囲気が緊張感で溢れていてとても笑うという雰囲気に思えなくて、テレビ越しに観ていて地獄のようだったけど、今年は去年に比べて、和やかで楽しい様子になっていたように思った。でも、2014年までのキングオブコントの決勝とは全然違うものになったのだなぁと改めて思った。

2014年までは、セミファイナリストたちが審査員として客席にいたので、二層の反応があった。コントの作り手の反応と、一般の観客の反応。昨年からは、セミファイナリストたちが客席にいないので、一般の観客の反応しかない。今年は特に、コントの内容が不気味だったり、異常な台詞を放ったりすると、観客から悲鳴が上がるのが目立った。コントは、笑いがなければその使命を全うしないので、その時それを観ている観客が笑わなければ意味がない。それは芸人自身は百も承知で、だから「営業ネタ」という呼称のネタがあるのだろう。キングオブコントの観客は「営業ネタ」向きの観客に寄ったと思った。しかし、これが”一般の観客”なのか…受け入れがたいけれど、これがテレビの求める観客なのだろう。審査員の松本さんが、付けた得点についてのコメントを求められたシーンで度々「うけてた」かどうかに言及する場面があった。スタジオにいる、この観客にうけること、それがこの番組、2015年以降のキングオブコントの評価の基準なのだ。

日々、現役でコントを作り続けているセミファイナリストたち自身が面白いと思うコントが選ばれるキングオブコントはもうなくなった。

準決勝を二日間観に行っていて、決勝に進んだ10組の選出は、実際に観た体感と大きく相違なかった。(準決勝を見に来る観客と決勝でスタジオにいる観客とは、全然ちがう。決勝の観客と準決勝の観客では準決勝の観客の方がこれまでのセミファイナリストの反応に近いと思う。)ライスの優勝も本当に良かった。でも、これだけ延々と述べる腑に落ちなさは、「もっと面白いはずなのに」という、全然響かない観客の反応への不満。

セカンドステージでのジャングルポケットとライスの点数について、設楽さん以外の審査員は、二組の点差を1点にとどめ、松本さん、大竹さんはジャングルポケットに、日村さん、三村さんはライスに軍配を上げていた。設楽さんだけが、ジャングルポケット88点、ライス94点という6点差をつけた。設楽さん以外の4名は、自分の好みを消極的に表しどちらが優勝であるかは5人の合計点に任せ、設楽さんは個人の評価を積極的に点数に表した、というように見える。ライスは2本とも面白かった。ライスが優勝して、本当に良かった。

しずるの出演順がライスと逆だったら、しずるが優勝していただろうと思った。これに関しては不運だと思った。一組目が出る前に、前説とは別に、過去の優勝者によるエキシビジョンが2本くらいあれば多少不運が解消されるのでは、と夢のようなことを思った。ラブレターズも後半だったら順位はもっと違っただろう。もし、なんてのは言ったって意味が無いけど。それより、それこそ、ラブレターズはスタジオでうけていたのに、うけていなかったような印象になっているのは納得いかないなぁ。かもめんたるが2本目を披露することになった時、「もうこの場所でかもめんたるはうけないな。」と思ってしまった。かもめんたるの2本のコントは、誰よりも独創的で唯一無二で一番面白かった。かもめんたるのコントの面白さが共有できない観客に幻滅した。かもめんたるのコントが元々好きだけど、だからといって、かもめんたるの、または他の特定の誰かの優勝を願っていたわけではない。ただ、それぞれの面白さが響かないこのキングオブコントに熱狂できなかった。

セカンドステージに進んだジャングルポケットタイムマシーン3号のコントがとにかく好みに合わなかった。古臭くて手垢のついた茶番劇だと思ってしまった。タイムマシーン3号の1本目のコントは、準決勝でやってたオチと変わっていた。準決勝では、後半、関が周りの人間を次々に小銭に変え、山本も小銭に変えられそうになるが、山本は持っていた鏡に反射して小銭になることから免れ、一方、関自身が小銭になってしまう。このシニカルさが良かったけど。オチで石貨が出てくるのはダサかった。

もう、これまでのキングオブコントに幻想を抱くのは今年でやめてしまおうと思うので(本来去年で諦めるべきところを、こんなにも未練がましく綴ってしまった…)、キングオブコント2016は、なんとかDVDになって、2015も今更でもいいのでどうにかしてDVDになって、DISK2には準決勝のコントを収めてほしいな。

キングオブコント2016準決勝2日目(9月9日)

キングオブコント2016準決勝2日目(9月9日)

かなり前の方の席で見た。席の位置のせいか全体的にウケてたのかどうかわかりにくかった。1日目が眠れないほど面白かったというのもあるけど、あまり面白いと思えるものがなかった。

※ネタバレ有

アインシュタイン 先生と女子生徒
アンガールズ 除霊
インスタントジョンソン 知ったかぶり
うしろシティ 自転車
・エンペラー ナンパ
・鬼ヶ島 性別
かまいたち 誘拐
祇園 パ行
・キュンキュンパフェ 物理
グランジ 電力
コロコロチキチキペッパーズ ソーラン節
ザブングル 先生の不倫
GAG少年楽団 田舎の同級生
・しゃもじ ボタン
ジャルジャル 友達の名前
ジャングルポケット 会議前
・ジュリエッタ 廊下で衝突
・シンプル 四コマ漫画
・ずん 営業
セルライトスパ 空手
・たんぽぽ 告白
・チョコレートプラネット マジック
天竺鼠 家族
・トップリード 娘さんをください
・ニッチェ 友達の妹
・パーパー カップル
・馬鹿よ貴方は 漫画喫茶
・ハナコ 恋愛シミュレーションゲーム
・バンビーノ 測量
藤崎マーケット 窓から…
モンスターエンジン 怪物
夜ふかしの会 ご飯
ラブレターズ 野球拳
レイザーラモン ドナルド・トランプ
・ロッチ レイを買いに来た客
・我が家 喋り方
・わらふぢなるお スーパーの売り場

★マークは今日一番面白かった、☆マークは特に面白かった。(準決勝に進むほどの方々は、好みの差はあれ、どれも面白いです。)

ラブレターズ

楽しい!楽しい時間を会場で共有したー!という一体感があった。終わるやいなや拍手が湧き出てくる感じで、これも会場全体が面白かった!という雰囲気に包まれていたと思った。

GAG少年楽団

もうすでに決勝進出者が決まってしまったので、その結果を含めで感想を書いてしまうけど、いつもウケるところが全部ウケていて完璧に終わるのに、なかなか決勝に進めていないのを見て、不思議。会場も割りと沸いていた感じがありました。きれいに終わりすぎるのかなとか思う。

トップリード

畳み掛けが面白かった。会場にいる観客の心を掴んでいた感じがありました。個人的にも割りと面白かったです。だけど、多少引いた目線で見てしまうと、「お約束」的展開の畳み掛けに乗れないかもなと思う。トップリードはライブでもよく見るし、好感があるので、こんなことを書くのは気がひけるけど、その乗れない場合の感じっていうのは「全く初めて見に来た劇団がハートフルな演劇を上演していて、熱演する役者と、元々のファンと役者の知り合いが多いのかなって思うような客席の盛り上がりに若干引いてしまう感じ」に似ているかもしれない。それは一方では、引いてしまうということだけど、一方では熱狂させる魅力があると言える。そういう心の掴み方がだめなのかというとそうではなくて、今回の会場にいた審査員の人の基準からは外れた、ということなのかもしれない。

藤崎マーケット

最初のコントの導入シーンがすごく好きだった。リビングのソファに座って、テレビをザッピングして気に入った番組がないからスマホいじる、みたいなシーン。この何気なさに期待感が増した。期待感が増したのちに起こる出来事も面白かった。

キングオブコント2016準決勝1日目(9月8日)

キングオブコント2016準決勝1日目(9月8日)

上手の後ろの方の席で見た。

※ネタバレ有

相席スタート 彼女の元カレエピソード
・アキナ 大将の行動
阿佐ヶ谷姉妹 定食屋の姉妹
・犬の心 特にダメな場所
・インポッシブル 焼き芋屋と女
エレキコミック アイドル志望のコンビニ面接
かもめんたる 遠距離恋愛
・高校ズ 演劇部の即興芝居
・ザ・ギース ミュージカル俳優
ジグザグジギー 定食屋の達人
★しずる 刑事の現場突入
ゾフィー ペンション殺人事件
・だーりんず 息子の結婚前夜
タイムマシーン3号 カツアゲ
・ダブルブッキング タクシー
・チャーミング 安い飲食店
チョップリン ひいじいちゃん
・TKO プロ野球の木本選手
・トンツカタン 部屋にGが出た
★ななまがり 左利き
・ななめ45° エロ本で助かる
・ニッポンの社長 母のパート先
ニブンノゴ! 治安が良いのか悪いのか
・ムニムニヤエバ エロ漫画で見た展開
・やさしいズ 彼女の作った歌
・やさしい雨 マッサージ店
・や団 居酒屋アルバイトの喧嘩を仲裁
・ライス 脅されてるのに
ラバーガール 先輩の泣いてる理由
・ロビンソンズ ブスのダメ出し

★マークは今日一番面白かった、☆マークは特に面白かった。(準決勝に進むほどの方々は、好みの差はあれ、どれも面白いです。)

しずる

刑事ものの定石とも言えるような台詞や展開、でも、その土台となっているのはナンセンスな状況。めちゃくちゃ面白かったし、会場が一体となって盛り上がった。コントの終わりは、溶暗しながら「面白かった!」という会場の一体感から自然と拍手が湧きいでる感じがあった。決勝に進んでテレビの仕事が一層増えても、とにかくコントが面白いので、単独ライブは最低でも年に一回、最低でも5ステージくらいはやってほしいです!!

ななまがり

最初のシーンから、状況も台詞も言い回しも可笑しくて、晴天の霹靂だった。一発目に繰り出されたパンチの威力!耳に残る強フレーズ。バカバカしくて最高!今年、単独ライブに行かなかったことが悔やまれた。

かもめんたる

決勝に進んだので、ネタバレしてた感想消しました。

ザ・ギース

高佐さんは、とても器用でそつがないといえばそつがないのだけども、なんだか、そのスキルに反して、ちょっとハラハラするようなアンバランスな魅力がある。その魅力とこのコントはマッチしてるように思った。

チョップリン

小林さんの得体の知れなさが際立ってた。怪異であることは、近寄りたくないのと同時に惹きつけられもする、みたいなコント。

ライス

脅されてるのに緊張感ないなぁ、なんて観ながら初めは思ってしまったけど、そんな見方は無粋だった、って思わせられるほど、ナンセンスさに巻き込まれた。