2017年12月2日〜12月31日までに観たもの(抜粋)

面白かったものの中で一言書いておきたいものだけ

12月5日 ナショナル・シアター・ライヴ『ヘッダ・ガーブレル』(TOHOシネマズ日本橋

女という容れ物から自分を解放できずにもがいて死んだ女の話だった。と思った。主人公のヘッダに対して、テアは男と知性で繋がっているように思った。

12月7日  城山羊の会『相談者たち』(三鷹芸術文化センター星のホール)

台詞が極限まで小さかった。もはや、セリフの一部が聞き取れなくても、それでも面白さは損なわれず、変わらないという境地なのかも。(城山羊の会は台詞がめちゃくちゃおもしろいのにもかかわらず。)こんな空気を醸成できて、観客を巻き込めるというのがすごいと思う。文脈さえ分かっていれば、そこに発生している人間関係それ自体を面白いと思える。生身の俳優が上演すること、最大の面白さだと思う。

12月10日 ナショナル・シアター・ライヴ『一人の男と二人の主人』(吉祥寺オデヲン)

洒落たコメディだった。休憩の間に、ナビゲーターが楽屋に行くシーンで、俳優たちがボケまくっててめっちゃ面白かったし、かっこよかった。

12月13日 アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』(ユーロスペース

昔観たけど、忘れられずに、観た。他に替えがたい時間が得られる。もう一度観たい。ところどころユーモアがあって笑える。

12月13日 ワワフラミンゴ『脳みそ歩いてる』(ギャラリー・ルデコ)

どういう理屈、というか、何を手本にして、何を目指しているのか、類型化できない、観たことがない、独自の団体だ、と改めて思った。唯一無二すぎる。テニスコートの神谷さんが良いアクセントになっていた。不思議なコラボレーションが生まれていた。印象的な台詞はたくさんあったはずだけど、記憶力が悪くあまり覚えていない。

12月16日 『テアトロコント vol.24』(ユーロライブ)

「古屋と奥田」というコンビが素晴らしすぎた。作・演出を毎回外部から招く方式の、俳優のユニット。俳優2人の人間としての色気がすごい。今回の作・演出は、玉田企画の玉田真也。玉田企画では今まで観たことがないような、大人の男の人間関係を描いていた。新境地だと思った。「古屋と奥田」は、今後、バディものの代名詞となるだろう。

12月16日 やさしいズ単独ライブ『#ストレリチア』(神保町花月

コントがとにかく面白かった。特に、「コンビニ」と題されたコントが素晴らしすぎて、観ながらこの公演に足を運んだことの幸せを噛み締めた。

12月18日 サニーデイ・サービス『DANCE TO THE POPCORN CITY』(恵比寿LIQUIDROOM

サニーデイ・サービスはもはや人生。

12月20日 チェルフィッチュ『三月の5日間』(KAAT 大スタジオ)

初期のチェルフィッチュの、観客に語りかけるスタイルをそのままやるのかと思ったけど、ちょっと演出が違ったように思う。以前はもっと、観客に、伝わっているのかどうか探っている感じと、こんなに一人で喋っていることへのエクスキューズみたいなのがあって、他者に対して発話するって感じが強かった。それは良し悪しではなく単に相違だと思った点。今回の上演を観て、十年あまりたった今でも新鮮で刺激的だったことにびっくりした。色褪せないと思った。

12月23日 第四笹蒲ライブ(新宿バッシュ)

浜村凡平さんが気になった。

12月27日〜31日 ヒッチコックシネマヴェーラ

アルフレッド・ヒッチコックの特集上映を行っていたので、気になっていたので観た。『山羊座のもとに』『汚名』『第3逃亡者』『三十九夜』『下宿人』『私は告白する』『ロープ』を観た。どれもめちゃくちゃおもしろい。私は映画をほとんど観ていないので、つまりまだ観ぬ名作が大量にあるということなので、のこりの人生もめちゃくちゃ楽しいじゃないかと思う。さておき、ヒッチコックですが、『汚名』という作品が特に、ロマンチックでときめいた。いままで観たどんな恋愛物よりも素敵だった。デヴリンは不器用で生真面目だ。アリシアのいないところでは、彼女のことで狼狽したり、感情的になったりしてるくせに、彼女には全く伝えられない不器用さにときめいた。ラストもとてもスリリングで情熱的だった。