11月に劇場で観たもの(2015年11月)

11月3日 犬の心副音声ライブ『2月犬』(座・高円寺2)
11月3日 犬の心副音声ライブ『冬犬』(座・高円寺2)
11月3日 犬の心副音声ライブ『梅雨犬』(座・高円寺2)
11月4日 しずるのトークライブ(阿佐ヶ谷ロフトA)
11月7日 ダブルブッキング単独ライブApology〜謝罪〜(ユーロライブ )
11月13日 フライデーナイトライブ(関交協ハーモニックホール )
11月14日 夜ふかしの会『a man lingers in blue midnight』(シアターモリエール
11月16日 東西爆音ネタバトル「HANG OUT」(ルミネtheよしもと
11月21日 しずる村上が5人とコント(ユーロライブ)
11月21日 かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.3(喫茶茶会記 )
11月22日 テアトロコントvol.3(ユーロライブ)
11月23日 ラバガ男子(ユーロライブ )
11月28日 弱い人たち『強くなりたい』(ユーロライブ)

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

犬の心副音声ライブ

2014年2月の『2月犬』、2014年12月の『冬犬』、2015年6月の『梅雨犬』という3本の犬の心の単独ライブの映像を流しながら、犬の心とゲストがトークをするという公演。『2月犬』ゲストは、佐久間一行、ガリットチュウ熊谷、グランジ五明、『冬犬』ゲストはTHE GEESE、『梅雨犬』ゲストはスパローズ。単独ライブの映像をガッツリ観るライブになるのかと思い行ったが、トークがメインとなった。トークがメインでも、内容が面白くて、とても良かった。単独ライブの映像は、また別途それを観ることを主とした公演を是非やってほしい。私は単独ライブは、『梅雨犬』のみ観ていた。

特に面白かった回は、THE GEESEがゲストの『冬犬』の回。THE GEESEは登場時より、犬の心の単独ライブの映像を観ることが楽しみといった様子だった。回の序盤は、THE GEESEはトークよりも映像をみてばかりで、尾関さんの多少不気味な笑い声がマイクを通して会場に響き、押見さんが戸惑うという流れがあり、コントが好きな様子が伺えたTHE GEESEに好感を持った。また、KOCの話にもなっていた。押見さんは、これまでのKOCは「台本の勝利だった」と表現していた。現役の作り手が、KOCをそのように表現し、捉えているということが興味深かった。しかし今回のKOCは、台本よりも、パフォーマンスの勝利だった、と言っていた。押見さんは、コントにまじめで、単独ライブを観て充分に好きだったけども、輪をかけてとても好きになった。THE GEESEは、普段、ワラインプロ等で観ている高佐さんは、良く喋る印象があったのだけど、この回では高佐さんはなんだか大人しくて、借りてきた猫みたいだったのがまた面白かった。尾関さんがよく喋っていた。尾関さんは押見さんに、コントの話で熱が入った際に「今度泊まりに行っていいですか」と打診して、押見さんを怖がらせていた。そこは、「今度飲みませんか」ではないのか、大きな成人男性に急に泊まりに来たいと言われるのは怖い、とビビる押見さんであった。いけやさんは、性根が真っ直ぐそうでさわやかな人物だ。そのさわやかさという形容詞は、司馬遼太郎の描くさわやかさの印象に近い。

『2月犬』の回では、佐久間一行さんは、よしもとの芸人にとって、心の拠り所なのだ、ということを知る。『梅雨犬』の回では、スパローズが犬の心をいじり倒していて、スパローズは悪ガキみたいで楽しいなと思う。

資料映像でもいいので、単独ライブの映像が欲しいです。鶏が大量に部屋に入ってきて、自殺しようとしていた人が自殺できない、みたいなコントがめちゃくちゃ面白そうだった。

しずるのトークライブ

ゲストがシソンヌ。しずるは東京NSC9期、シソンヌは11期。シソンヌのコンビ結成の流れを知った。NSCの11期の中では、じろうさんは、色々な人と話し顔が広く、輪の中心になる人物で、一人でコントもしていて、同期の中でもはやくから注目をされていたが、一方、長谷川さんはあまり目立たない三軍的存在だったそう。二人同い年なこともあり、良く話すように。誰と組んでもあまりうまくいかない様子のじろうさんの愚痴を、長谷川さんは「その相方とはうまくいきそうにないなぁ」などと思いながら聞いていたそうだ。長谷川さんは、M-1に挑戦するタイミングで、自分のツッコミが活かせそうな相手と組み、NCSで一躍注目株に。周囲に、自分を上手く売りこむことができる見せ方をしようとしたとのことで、とても戦略的な行動。一躍、同期の一軍入り。一方じろうさんも、M-1へ挑戦するために即席のコンビを結成。長谷川さん曰く「二人で別々の漫才をやっている」ような、異質で噛み合わないコンビだった。じろうさんも組む前から「絶対に合わない」と言っていたし、組むはずもない、うまくいかない、と長谷川さんも思っていた。しかし、誘いを断れない性分のじろうさん。即席だし、と言って組んでしまっている。何度目かの失敗で弱っているところを見計らったかのように、長谷川さんからコンビを組む提案をしたそうだ。長谷川さんは、コンビ間のパワーバランスに気を遣っており、スタートから力関係に偏りを持ちたくないという思いから、自分の価値を同期のなかで上手く提示したうえで、コンビのオファーをしたそうだ。戦略的な長谷川さん。コンビを組んだ当初から長谷川さんは、じろうさんの書くものが好きだったが、売れるためにはアレコレ、とコントに口出しした結果、出来上がるコントがどんどんつまらなくなってしまい、これはまずい、と思ってそれ以来口出しをするのをやめたそうだ。なんだかまるで恋愛の駆け引きのようだ、と形容しそうになるが、このような関係は、恋愛にのみ個別的なことなのではなくて、人間関係という類の中に、恋愛という種、コンビという種が存在していて、これは人間関係にあり得べき形なのだと思った。

フライデーナイトライブ

オフィス北野への所属をかけた、公開審査会が行われた注目回。今回は、ランジャタイと、荒ぶる神々が挑戦。なんといっても、注目すべきはランジャタイ、数々の事務所所属を経てきた、根無し草にとって、オフィス北野が終の棲家になるのか否かという今後も含めてその動向に熱い視線が注がれた(と思われる)。各組、2つずつネタを披露し、審査が行われ、結果、二組とも、無事所属に。ランジャタイの漫才は、言葉によって想像させる力がすごい。思いもよらないところへ、イメージを引き上げると言えばよいのか、想像したことがなかったような情景を想起させる力があって、引き込まれる。これは、最近だとAマッソの漫才を観た時にも感じた。オフィス北野には、馬鹿よ貴方はという面白くてとても個性的な漫才師がいるけれど、またさらに別の角度の面白くてとても個性的な漫才師が所属したことになる。やっぱりオフィス北野の若手層への興味が止まらない。

東西爆音ネタバトル「HANG OUT」

爆音で客入れMがかかり、ネタとネタとの合間のMも爆音、という、なぜそんなところに個性を出した、と思う一風変わったネタライブ。上手、下手のスピーカーから流れる爆音。スピーカー寄りの席だった私は若干耳が痛くなった。それはさておき、POISON GIRL BANDGAG少年楽団、プラスマイナス、チョコレートプラネット、コマンダンテ、吉田たち、和牛、ニューヨークが出演。大阪から東京に来るときは可能な限り観に行くことにしているイチオシの漫才師コマンダンテ、漫才をあまり観ないながらよく観に行くPOISON GIRL BANDTHE MANZAIで観て以来気にしている和牛、キングオブコント2015準決勝を観て以来気にしているGAG少年楽団、よしもと若手随一と思っているニューヨークが出るので、観に行った。やはり、コマンダンテは面白かった。美容院の漫才コントをはじめたいのだが、ラーメン屋の漫才コントがはじまってしまうという漫才。POISON GIRL BANDはバトンゾーンの使い方の漫才、和牛は結婚式をぬけ出す女、手料理を振る舞う女へ異議申し立てを行う漫才。GAG少年楽団カラオケボックスで告白するコント。チョコレートプラネットの、氷室京介の医者のコントが大盛り上がりして楽しかった。ニューヨークは、変わったキレ方、変わったヤンキーの漫才。

しずる村上が5人とコント

『POISON吉田が5人と漫才』という、吉田さんが行っているライブを模して、しずる村上さんがコントをやってみたい5人をゲストに迎え、コントを描き下ろして披露するという、とてもエキサイティングなライブ。しかもMCにPOISON GIRL BAND吉田さんを迎える。今回のゲストは、サンシャイン坂田、THE GEESE高佐、佐久間一行、トップリード新妻、東京ダイナマイト松田、この5人とコントを行い、ボーナストラック的にMCのPOISON吉田と漫才を行った。THE GEESE高佐さんとのコントが、なんだか相性が良いように思った。面接をしている、と思いきや、面接コントをしていて、と思いきや、面接コントのコントをしていて、というような、何層もの入れ子構造になったコント(ちょっとうろ覚え)。THE GEESEの『ALTERNATE GREEN』でのCUTっていうコントが、同じような構造だったな、と思う。演者二人とも、肌に合ったのだろうと思う。というか、どのコンビのコントも、すごくしっくりきて、しかも面白い。しずるの村上さんが、相手をよく観て丁寧に書いたのだということがうかがえる。一回きりの上演が、もったいない。もう一度、拝見する機会がありますように、と願う。

かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.3

かもめんたるの、少人数の観客で行う、なんだかアットホームな茶会記ライブ。合間に行われる二人のトークがすごくいい。肩肘張らない感じで。行くのは2回目。今回は、「理由」、「英会話」、大食いのコント、蛇と童謡と義父のコントをやっていたと思う。

弱い人たち『強くなりたい』

とても面白かったので、別途、記事をまとめて書きたいと思う。