7月、8月に観たもののこと

観たものを羅列して、感想を書くことも、興がないなぁと思い始めたので、見て面白かったものを個別に書くのと、ちょっと何か残しておきたいことについて、ある程度まとめて書くことにしようかと思った。(7、8月はナショナル・シアター・ライヴを2つ、コントの単独ライブを8つ、漫才の単独ライブを1つ、演劇を14本、映画を4つ、お笑いのライブを7つ観た。)

 

7月は、かもめんたるがやっている、劇団かもめんたるの公演『ゴーヤの門』も観た。シーン一つ一つが抜群に面白い。けれど長い尺で一つのまとまりのある演目として観た時に、少し物足りなさも、感じる。それから、たくさんの人が舞台上に居るシーンの演出はところどころ違和感があった。私は、演劇は、生身の人間が、舞台上であたかも今そこで起きているかのようなコミュニケーションを再現する、ということに面白さがあると思っているので、それぞれ、リビングに自然と人が集まってくるシーンなどで、舞台上のその場所に居ることを指示されたかのような座り位置とか、みんなが一斉に立って舞台の前の方に集まって話すシーンとかは、それぞれの役の動きに必然性を感じなくて、ちょっと変だなぁと感じた。個性的な台詞が多くて面白かった。石田さんが、一人でるいと君相手の妄想するシーンとか、るいと君のお母さんが光太郎に「抱いて」って言ったこと、そのことを光太郎が皆に言っちゃうところまでの一連のシーンとか、すごく声に出して笑えたし、頭が冴え冴えするような面白さがあった。作・演出の岩崎う大さんが、本気で演劇に…というか、長尺の演目に取り組み始めたら、演劇シーンは変わるかもしれないな、とも思う。この『ゴーヤの門』という演目、というか、劇団かもめんたるについて、もっと普段演劇を観ている人が観た時の感想を聞いてみたい。否定的であれ、肯定的であれ、どのように観るのだろう。

マンボウやしろの告別ショー2016『サイコロ出鱈目』という公演も観た。この公演は、用意されたネタに、誰が出演するかを、サイコロで決めるというもの。舞台上に6つの扉があって、6人の出演者が、扉の後ろに待機。サイコロを振って出た目の扉が開いて、出演者が登場し、予定された演目が始まる。言い換えれば、サイコロの目以外の演者は、出られない。そういうシステムの公演だとは、始まるまで知らなかったけど、劇場に入って、この6つの扉が設置された舞台を観た時、無条件にとてもわくわくした。サイコロを振って演者が登場するまでの一連の演出がかっこよかった。マンボウやしろさんという人を私はよく知らなかったので、観てみた公演。出演者に、しずるの池田さん、犬の心の押見さんがいるのも、観に行こうというきっかけになった。しかし、この公演後しばらくして、マンボウやしろさんは、芸人を引退すると発表した。今後は、脚本・演出家として活動するらしい。辞めるわけでなくなにか作り続けるなら楽しみだ、と思う。

7月末から8月は、単独ライブをたくさん観た。ラブレターズの60分ライブ、GAG少年楽団コマンダンテの単独、別個感想を書いたしずる、チョップリンの単独ライブ。もうすぐというか明日から二日間、キングオブコントの準決勝だ。キングオブコントの準決勝は、賞レースの準決勝なのだけど、これまでの一年間で一番良いコントだと演者自身が思うものを上演する公演と言い換えられる。「良い」というのは、もちろん一番笑えるものであるということを含むけど、それに加えて何をもって良しとするかをそれぞれの演者がどう捉えているかもなんだか感じられるような気もする。今年は、準決勝の段階で、さらば青春の光とニューヨークが敗退していたので驚いた。誰が決勝に進むのか、楽しみだ。個人的には、チョップリンラブレターズが進んだらいいな〜と思う。