2016年の活動が特に楽しみな6組

2016年、コントのライブとコントの単独公演をメインに観る予定です。

2016年のコント公演が特に楽しみな4組

かもめんたる

コントにかけては他の追随を許さない圧倒的なコンビなのは間違いないので、この二人が自由にコントを作り続けられる環境にあってほしいなぁと切に思います。劇団かもめんたるの活動については、飛躍を期待しています。演劇を主軸に活動している劇作家にも衝撃を与えられるような作品がきっと作れる人だと思っています!

犬の心

『2015犬』での、「当然単独ライブはやります」という押見さんの言葉に期待が止まりません!真面目に創作するコンビだと知りました。とにかくコント、しかも長めの、会話劇系コント、とても好きです。このクオリティの公演をコンスタントに続けるコンビがいることが明るい未来を示している。

シソンヌ

ドライな笑いが多い中、ドライさとウェットさを兼ね備えたコントをやるコンビ。ウェットさを含む笑いを作るコンビは、今他にあんまりいないんじゃないかなと思い、改めて2016年が楽しみ。着実に飛躍しているシソンヌに期待が止まらない。将来的にお笑い界から岸田戯曲賞を獲るかもしれないのはじろうさんなんじゃないか。彼らのコントの延長線上に演劇がありそう。コントも演劇も本当はグラデーションで境界はないのです。

しずる

単独ライブに行ったらコントがとても面白かった。面白かったので、他の単独のDVDも観たけど、多作で多彩。必ず観に行こうと思う。

2016年この漫才師だけは確実に観たい1組

コマンダンテ

この二人の漫才を観る機会があるならライブでもテレビでもネットでも貪欲に観たいと思います。

カテゴライズ不能のパフォーマー1組

オリエンタルラジオ

2016年は、どのような活躍をされるのでしょうか。圧倒的なチャーミングさで今年も魅了してくれるのでしょう。ライブでもテレビでも最高のパフォーマンス!眩しい。

 

2016年も楽しい年にしたいです。

2015年を振り返り

1月

18日(日)かもめんたるの単独公演『抜旗根生~ある兄弟の物語~』を観た。「ドリームクラッシャー」というタイトルの、宝石屋の店員と副社長のコントが刺さったのを覚えている。夢を追いかけている、バンドマンの夫を持つ妻(宝石屋の店員)が、宝石屋の副社長に、売れない夫について散々なことを言われるコント。こんなコントを書けるのはきっと似たような体験をしたからじゃないか、などと思った。

3月

7日(土)『ワラインプロ』に初めて行く。即興から、得意な演技の感じとか、普段の振る舞いとか思考とかが少し見えるような気がして、以降よく観に行くライブとなる。キース・ジョンストンという人を知る。「インプロ」という本を買って読む。「ステイタス」という切り口がとても面白い。

20日(金)デブッタンテのライブ。うしろシティのこのライブのための新ネタ、東京のお父さんのコントがすごく面白かった。しかし、私が観ている限り、このコントはこの日限りでやっていない。

21日(土)サタデーアフタヌーンライブに初めて行く。オフィス北野のライブに初めていく。オフィス北野が好きになる。

4月

4日(土)五反田団の偉大なる生活の冒険を韓国の劇団が上演するのを字幕付きでアトリエヘリコプターにて観劇。アフタートークで韓国の演出家と俳優が、この脚本にとてもシンパシーとリアリティーを感じているということを聞く。韓国の若者も日本の若者も似たような現在を生きているのだと思った。

25日(土)『POISON GIRL BANDコマンダンテのライブ』を観る。THE MANZAI2014以来気になっていたコマンダンテを初めて生で観た。以降、コマンダンテは東京に来るときにはほとんど観に行くことになる。また、この日以降POISON GIRL BANDも好きになる。

5月

1日(金)THE GEESEの単独公演『ロイヤルストレートフラッシュバック』を観る。2015キングオブコントで決勝に行くことになる、THE GEESEのコント劇的ビフォーアフターのコントが面白かった。捨てた童貞が帰ってくるコントも面白かった。

6月

20日(土)犬の心単独ライブ『梅雨犬』を観る。「唐突」というコントがすごく好きだった。このコントをベースに改定したコントをキングオブコント2015の準決勝でやることになる。私は元のコントの方が好きだった。犬の心の単独は毎回観たいと思うようになる。

同じ日に円山スクランブルエッグス『円山町再開発』を観る。今年のベスト10に入りそうな公演をこの日に2本観る。2015年中最も素晴らしい一日

23日(火)誕生日にシティボーイズ『燃えるゴミ』を観る。S席を取ればよかったという後悔をする。

7月

5日(日)ナショナル・シアターライブ『スカイライト』を観る。凄まじい完成度と見応え。こんな公演をザラに観られるような演劇環境に日本がなったらいいなと思う。

8月

12日(水)しずるの単独公演『吉祥寺マチェーテ』を観る。ボウリングのコントと、銃創の手当をするコントが面白かった。全て見応えがあった。私の好きな会話劇系のコントだった。しずるの単独ライブも今後必ず行こう、と思う。

18日(火)『かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.2』に行く。小さな会場で、無理しない振る舞いをするかもめんたるの二人にとても好感を持つ。この二人が無理せず得意なことを存分に活かして生きていけるような世界であってほしいと思った。

23日(日)『コマンダンテ2015in神保町』でコマンダンテを観る。二人が東京に来るのがとても楽しみな出来事。漫才が本当に面白い。

27日(木)、28日(金)キングオブコント2015の準決勝。全ての組が面白くて興奮した。GAG少年楽団が気になりだす。

11月

3日(火)犬の心副音声ライブを三本続けて観る。犬の心がコントにまじめでさらに好きになる。

28日(土)ユニットコント弱い人たち『強くなりたい』を観る。相田さんやマツモトクラブさんが、漫才や一人コントではない形でコントをするのが貴重に思われた。相田さんの演じる人物は強烈なキャラクターが炸裂していた。狂気的ながら愛敬があった。

12月

25日(金)RADIO FISH PARTYでオリエンタルラジオの一年間の活動の結実を見届ける。2015年はオリエンタルラジオに本当に楽しませてもらった。大ファン。

26日(土)犬の心単独ライブ『2015犬』を観る。犬の心がすっかり好きになる。『梅雨犬』、『2015犬』、パンフレットを読むと、目標の存在としてシティボーイズの名前が度々出てくる。さらに好きになる。

27日(日)さらば青春の光単独ライブ『ノリノリツアー』を観る。さらば青春の光の力強さに魅了される。東口さんの適当な感じのノリが面白い。

29日(火)シソンヌライブ『deux』を観る。『deux』は、初演を観ていて、その公演自体のクオリティに驚いて、すごく心に残っていたのだけど、その気持ちを超えてきた。最後の葬式の挨拶のコントがすごく印象に残った。このコントはシソンヌというコンビの、他のコントのコンビと違う色合いを強く示したコントだと思う。

2015年は、お笑いの公演を133本、 演劇を26本、映画を3本、美術館の展覧会を1本観ました。楽しい一年でした。

12月に劇場で観たもの(2015年12月)

12月1日 倉本美津留の太鼓判(20:30の回)(ユーロライブ)
12月2日 シベリア少女鉄道『Are you ready? Yes,I am.』(駅前劇場)
12月3日 いやKAO!(新宿角座
12月5日 THE GEESE単独ライブ『正しいピクニックのやり方』(小劇場B1)
12月5日 ワラインプロ18年末スペシャル第三部~かもめんたる槙尾生誕祭(新宿バティオス)
12月8日 城山羊の会『水仙の花 narcissus』(三鷹市芸術文化センター)
12月12日 よしもと軍VS東高円寺シャイニングアンサーズ(新宿バティオス)
12月13日 OsakaManzaiGrandBattle~vs TokyoManzai~(ヨシモト∞ホール
12月13日 OsakaManzaiGrandBattle~vs Tokyoコーナー編~(ヨシモト∞ホール
12月19日 ジンカーズ単独ライブ『TIME』(ユーロライブ)
12月19日 ロビンソンズ単独ライブ『微笑』(しもきた空間リバティ)
12月21日 友達のパパが好き(ユーロスペース
12月23日 シソンヌライブ『une』(赤坂レッドシアター)
12月25日 RADIO FISH PARTY(渋谷QUATTRO)
12月26日 犬の心単独ライブ『2015犬』(座・高円寺
12月27日 さらば青春の光単独ライブ『ノリノリツアー』(草月ホール
12月29日 シソンヌライブ『deux』(赤坂レッドシアター)

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

城山羊の会『水仙の花 narcissus』

山内ケンジさんが岸田戯曲賞を受賞した『トロワグロ』は、戯曲を読んでいたけれど、城山羊の会は初めて観た。面白かった。恋愛は自分勝手でバカバカしくて可笑しい。

Osaka Manzai Grand Battle ~vs TokyoManzai~・~vs Tokyoコーナー編~

コマンダンテが出るので観に行った。大阪の漫才師は、コマンダンテ、インディアンス、プリマ旦那マルセイユ祇園の5組、東京の漫才師はニューヨーク、ラフレクラン、鬼越トマホーク、ゆにばーす、ベイビーギャングの5組。披露した漫才を観客が投票して順位をつけるというシステムで、私はコマンダンテ、ゆにばーす、インディアンスが面白かったので投票しました。

大阪の漫才師は、コマンダンテ以外ライブでは初見だった。インディアンスがとても面白かった。ジョギングをしていると、次々と、背後から色々な人が話しかけてくるという漫才なのだけど、話しかけてくる人のチョイスがちょっと狂気じみている感じがあって面白かった。どんなコンビなのかと、帰ってからYouTubeなどで他の漫才を観てみたら、ボケの田渕さんがかなりのギャガーで明るいタイプで、意外に思った。二人ともなんだか人の良さそうなコンビだった。この漫才をもう一度観たい。

プリマ旦那の漫才は、ボケの野村さんが、普通の人が気にしないような点に細かい指摘を入れたり毒づいたりするのが鋭くて面白かったのだけど、その対象がアンパンマンで、個人的にはもうちょっと、他の人が指摘しにくそうな対象だったり、現代的な新しいものが対象だったら、もっと好みだったかもしれない。狙っている客層が若いのかなと思った。ツッコミの河野さんは、コーナー編でのMCをやっていたけれど卒がなかった。

コマンダンテは、M-1の三回戦で披露していた、安田さんがボケない漫才。やっぱりこの漫才は面白い。

ゆにばーすは、これまでの人生を人生ゲームに見立てた漫才。私はなんだかこのコンビが好きだ。

コーナー編では、大阪勢の勢いの良さ、臆さなさ、屈託の無さが、東京勢と比較して抜きん出ていた。東京勢では、ニューヨークの嶋佐さんの個性的で独特なボケ方がひとり際立っていた。

RADIO FISH PARTY

オリエンタルラジオダンサーを率いて結成しているユニット・RADIO FISHが歌って踊るクラブイベント。このイベントは、去年末のオリエンタルラジオのトークライブで2015年の最終目標として掲げたライブであり、彼らの活動の10周年を記念するライブでもある。つまり、トークライブで示した一年間の活動方針を有言実行し、最終目標を完遂したのです。その過程は、月一のトークライブで観ることができた。私にとって二人はアイドルのような存在となり、心底一挙手一投足を「カッコイイ」と思ってしまうし、パフォーマンスを尊敬しているし、大ファンとなってしまっているのであった。二人が歩んできた道のり自体に物語を感じ、その存在自体のファンというのは、これはまさしく「アイドル」なのだと思った。ちなみにゲストには2700、佐久間一行、はんにゃ、あやまんJAPANが登場した。ひのでも前説や、その他アシストをしていた。

シソンヌライブ『une』『deux』、犬の心の単独ライブ、さらば青春の光の単独ライブは別に記事を書きたいと思う。

M-1グランプリの感想

M-1グランプリをリアルタイムで観てました。

お笑いの中でも、特にコントが好きだと自覚してから、漫才は、「漫才」に対する熱量として門外漢な感じがあって、特に言うことがない感じがしている。私の考えとしては、作り手以外が何かを言うことを否定するつもりはない。作り手以外が何かを言うことを拒否しているような、遠慮しているような分野は、窮屈だと思う。文学にしろ、演劇にしろ、鑑賞者が好きなように何かを言えることが分野の裾野を広げると思う。にしても、そんなに熱量があるようなないような…と思いながら、しかし否定的なことを言うわけではないので素直な感想を書いておこう。

M-1グランプリ2015は、私は予選自体を観に行ってはいないので、どうやってもテレビで放送されたものだけを受け取ってアレコレ考えることになる。キングオブコント2015のことを念頭に置くと、M-1グランプリも、予選から観てきた人にとって、会場での盛り上がりとテレビを通しての放送と、何か差があったかもしれないな、と思うけれど、私はその差については鈍感である。

M-1グランプリ2015で一番に感じたのは、観客がとても楽しんでるな、ということだった。歓迎ムードだ、ということだった。どの組に対しても、楽しんで観ている感じがあった。そういう雰囲気の中披露する漫才は、調子が乗るだろう。だから今回のM-1グランプリに出た漫才師は、全て面白く感じた。実際、決勝に残るだけあって、どういう賞レースでも、決勝の組は面白いことは間違いないと思っているけれど、見え方として「面白いもの」として全国に放送された感じがあった。最近、観客の反応で「面白さの見え方」はどうにでもなる、のではないか、という考えを強めつつある。どうにでもなる、っていうのは言い過ぎだけど、観客の反応には割と大きな影響力があると思う。

出演順が、トップバッターがメイプル超合金、2番手が馬鹿よ貴方は、だったけれど、この二組が中盤に来ていたら、番狂わせだっただろう。どのコンビも楽しく観たけど、私の好みは和牛でした。理屈とそれに対する返しの応酬、ああ言えばこう言う、会話が続いていくのが好き。水田さんの主張は行き過ぎていながら、根本的に同意できて共感する。ハライチの、牛の頭を10個とか鼠の皮で作った袋とか面白かった。そういえば、この漫才は、デブッタンテのライブのために作ったネタなのではなかっただろうか?デブッタンテのライブのために作ったネタでうしろシティキングオブコント決勝に進んでいたし、見応えのあるライブだったなと振り返る。優勝したトレンディエンジェルは、圧倒的な受け入れられ感があった。楽しかった。心掴んだ感じがあった。細かいこということが野暮ったく思える。

敗者復活戦も観ていた。さらば青春の光POISON GIRL BANDで散々悩んだけど、POISON GIRL BANDに入れた。今でも思い返して悩む。さらば青春の光は、コントしかあまり観たことがなかったけど、こんなに面白い漫才するなんて。

以上

11月に劇場で観たもの(2015年11月)

11月3日 犬の心副音声ライブ『2月犬』(座・高円寺2)
11月3日 犬の心副音声ライブ『冬犬』(座・高円寺2)
11月3日 犬の心副音声ライブ『梅雨犬』(座・高円寺2)
11月4日 しずるのトークライブ(阿佐ヶ谷ロフトA)
11月7日 ダブルブッキング単独ライブApology〜謝罪〜(ユーロライブ )
11月13日 フライデーナイトライブ(関交協ハーモニックホール )
11月14日 夜ふかしの会『a man lingers in blue midnight』(シアターモリエール
11月16日 東西爆音ネタバトル「HANG OUT」(ルミネtheよしもと
11月21日 しずる村上が5人とコント(ユーロライブ)
11月21日 かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.3(喫茶茶会記 )
11月22日 テアトロコントvol.3(ユーロライブ)
11月23日 ラバガ男子(ユーロライブ )
11月28日 弱い人たち『強くなりたい』(ユーロライブ)

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

犬の心副音声ライブ

2014年2月の『2月犬』、2014年12月の『冬犬』、2015年6月の『梅雨犬』という3本の犬の心の単独ライブの映像を流しながら、犬の心とゲストがトークをするという公演。『2月犬』ゲストは、佐久間一行、ガリットチュウ熊谷、グランジ五明、『冬犬』ゲストはTHE GEESE、『梅雨犬』ゲストはスパローズ。単独ライブの映像をガッツリ観るライブになるのかと思い行ったが、トークがメインとなった。トークがメインでも、内容が面白くて、とても良かった。単独ライブの映像は、また別途それを観ることを主とした公演を是非やってほしい。私は単独ライブは、『梅雨犬』のみ観ていた。

特に面白かった回は、THE GEESEがゲストの『冬犬』の回。THE GEESEは登場時より、犬の心の単独ライブの映像を観ることが楽しみといった様子だった。回の序盤は、THE GEESEはトークよりも映像をみてばかりで、尾関さんの多少不気味な笑い声がマイクを通して会場に響き、押見さんが戸惑うという流れがあり、コントが好きな様子が伺えたTHE GEESEに好感を持った。また、KOCの話にもなっていた。押見さんは、これまでのKOCは「台本の勝利だった」と表現していた。現役の作り手が、KOCをそのように表現し、捉えているということが興味深かった。しかし今回のKOCは、台本よりも、パフォーマンスの勝利だった、と言っていた。押見さんは、コントにまじめで、単独ライブを観て充分に好きだったけども、輪をかけてとても好きになった。THE GEESEは、普段、ワラインプロ等で観ている高佐さんは、良く喋る印象があったのだけど、この回では高佐さんはなんだか大人しくて、借りてきた猫みたいだったのがまた面白かった。尾関さんがよく喋っていた。尾関さんは押見さんに、コントの話で熱が入った際に「今度泊まりに行っていいですか」と打診して、押見さんを怖がらせていた。そこは、「今度飲みませんか」ではないのか、大きな成人男性に急に泊まりに来たいと言われるのは怖い、とビビる押見さんであった。いけやさんは、性根が真っ直ぐそうでさわやかな人物だ。そのさわやかさという形容詞は、司馬遼太郎の描くさわやかさの印象に近い。

『2月犬』の回では、佐久間一行さんは、よしもとの芸人にとって、心の拠り所なのだ、ということを知る。『梅雨犬』の回では、スパローズが犬の心をいじり倒していて、スパローズは悪ガキみたいで楽しいなと思う。

資料映像でもいいので、単独ライブの映像が欲しいです。鶏が大量に部屋に入ってきて、自殺しようとしていた人が自殺できない、みたいなコントがめちゃくちゃ面白そうだった。

しずるのトークライブ

ゲストがシソンヌ。しずるは東京NSC9期、シソンヌは11期。シソンヌのコンビ結成の流れを知った。NSCの11期の中では、じろうさんは、色々な人と話し顔が広く、輪の中心になる人物で、一人でコントもしていて、同期の中でもはやくから注目をされていたが、一方、長谷川さんはあまり目立たない三軍的存在だったそう。二人同い年なこともあり、良く話すように。誰と組んでもあまりうまくいかない様子のじろうさんの愚痴を、長谷川さんは「その相方とはうまくいきそうにないなぁ」などと思いながら聞いていたそうだ。長谷川さんは、M-1に挑戦するタイミングで、自分のツッコミが活かせそうな相手と組み、NCSで一躍注目株に。周囲に、自分を上手く売りこむことができる見せ方をしようとしたとのことで、とても戦略的な行動。一躍、同期の一軍入り。一方じろうさんも、M-1へ挑戦するために即席のコンビを結成。長谷川さん曰く「二人で別々の漫才をやっている」ような、異質で噛み合わないコンビだった。じろうさんも組む前から「絶対に合わない」と言っていたし、組むはずもない、うまくいかない、と長谷川さんも思っていた。しかし、誘いを断れない性分のじろうさん。即席だし、と言って組んでしまっている。何度目かの失敗で弱っているところを見計らったかのように、長谷川さんからコンビを組む提案をしたそうだ。長谷川さんは、コンビ間のパワーバランスに気を遣っており、スタートから力関係に偏りを持ちたくないという思いから、自分の価値を同期のなかで上手く提示したうえで、コンビのオファーをしたそうだ。戦略的な長谷川さん。コンビを組んだ当初から長谷川さんは、じろうさんの書くものが好きだったが、売れるためにはアレコレ、とコントに口出しした結果、出来上がるコントがどんどんつまらなくなってしまい、これはまずい、と思ってそれ以来口出しをするのをやめたそうだ。なんだかまるで恋愛の駆け引きのようだ、と形容しそうになるが、このような関係は、恋愛にのみ個別的なことなのではなくて、人間関係という類の中に、恋愛という種、コンビという種が存在していて、これは人間関係にあり得べき形なのだと思った。

フライデーナイトライブ

オフィス北野への所属をかけた、公開審査会が行われた注目回。今回は、ランジャタイと、荒ぶる神々が挑戦。なんといっても、注目すべきはランジャタイ、数々の事務所所属を経てきた、根無し草にとって、オフィス北野が終の棲家になるのか否かという今後も含めてその動向に熱い視線が注がれた(と思われる)。各組、2つずつネタを披露し、審査が行われ、結果、二組とも、無事所属に。ランジャタイの漫才は、言葉によって想像させる力がすごい。思いもよらないところへ、イメージを引き上げると言えばよいのか、想像したことがなかったような情景を想起させる力があって、引き込まれる。これは、最近だとAマッソの漫才を観た時にも感じた。オフィス北野には、馬鹿よ貴方はという面白くてとても個性的な漫才師がいるけれど、またさらに別の角度の面白くてとても個性的な漫才師が所属したことになる。やっぱりオフィス北野の若手層への興味が止まらない。

東西爆音ネタバトル「HANG OUT」

爆音で客入れMがかかり、ネタとネタとの合間のMも爆音、という、なぜそんなところに個性を出した、と思う一風変わったネタライブ。上手、下手のスピーカーから流れる爆音。スピーカー寄りの席だった私は若干耳が痛くなった。それはさておき、POISON GIRL BANDGAG少年楽団、プラスマイナス、チョコレートプラネット、コマンダンテ、吉田たち、和牛、ニューヨークが出演。大阪から東京に来るときは可能な限り観に行くことにしているイチオシの漫才師コマンダンテ、漫才をあまり観ないながらよく観に行くPOISON GIRL BANDTHE MANZAIで観て以来気にしている和牛、キングオブコント2015準決勝を観て以来気にしているGAG少年楽団、よしもと若手随一と思っているニューヨークが出るので、観に行った。やはり、コマンダンテは面白かった。美容院の漫才コントをはじめたいのだが、ラーメン屋の漫才コントがはじまってしまうという漫才。POISON GIRL BANDはバトンゾーンの使い方の漫才、和牛は結婚式をぬけ出す女、手料理を振る舞う女へ異議申し立てを行う漫才。GAG少年楽団カラオケボックスで告白するコント。チョコレートプラネットの、氷室京介の医者のコントが大盛り上がりして楽しかった。ニューヨークは、変わったキレ方、変わったヤンキーの漫才。

しずる村上が5人とコント

『POISON吉田が5人と漫才』という、吉田さんが行っているライブを模して、しずる村上さんがコントをやってみたい5人をゲストに迎え、コントを描き下ろして披露するという、とてもエキサイティングなライブ。しかもMCにPOISON GIRL BAND吉田さんを迎える。今回のゲストは、サンシャイン坂田、THE GEESE高佐、佐久間一行、トップリード新妻、東京ダイナマイト松田、この5人とコントを行い、ボーナストラック的にMCのPOISON吉田と漫才を行った。THE GEESE高佐さんとのコントが、なんだか相性が良いように思った。面接をしている、と思いきや、面接コントをしていて、と思いきや、面接コントのコントをしていて、というような、何層もの入れ子構造になったコント(ちょっとうろ覚え)。THE GEESEの『ALTERNATE GREEN』でのCUTっていうコントが、同じような構造だったな、と思う。演者二人とも、肌に合ったのだろうと思う。というか、どのコンビのコントも、すごくしっくりきて、しかも面白い。しずるの村上さんが、相手をよく観て丁寧に書いたのだということがうかがえる。一回きりの上演が、もったいない。もう一度、拝見する機会がありますように、と願う。

かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.3

かもめんたるの、少人数の観客で行う、なんだかアットホームな茶会記ライブ。合間に行われる二人のトークがすごくいい。肩肘張らない感じで。行くのは2回目。今回は、「理由」、「英会話」、大食いのコント、蛇と童謡と義父のコントをやっていたと思う。

弱い人たち『強くなりたい』

とても面白かったので、別途、記事をまとめて書きたいと思う。

10月に劇場で観たもの(2015年10月)

10月3日 『十一ぴきのねこ』こまつ座紀伊國屋サザンシアター
10月8日 うしろシティのライブ(新宿角座
10月12日 ワラインプロ13(新宿V-1)
10月16日 しずると天竺鼠とネタ(ルミネtheよしもと
10月22日 東京コントメン(ユーロライブ )
10月24日 テアトロコントvol.2(ユーロライブ)
10月31日 ORIENTAL RADIO SPECIAL LIVE(ヨシモト∞ホール

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

『十一ぴきのねこ』こまつ座

キャストが魅力的だったのでチケットを取った。猫のホテル中村まことさん、市川しんぺーさん、元猫のホテル菅原永二さんという3人が、十一ぴきの”ねこ”で共演するというのがなんだか興味を惹かれた。3人とも、とても好きな俳優。チラシには「子どもとその付添いのためのミュージカル」とあるので、子どもに寄せてあるのかと思いきや、物語のラストで、十一ぴきのねこたちがたどり着いた場所に力を合わせて建てた国の顛末に驚いた。物語の主人公であった、十一ぴきのねこたちは、それぞれ私腹を肥やし、正直なねこは抹殺されるという、とても現実的な、国の内部分裂が描かれた。物語は、「めでたしめでたし」というわけにはいかなかった。子どものための、だからといって、現実を薄いヴェールで隠したような「めでたしめでたし」にならないところが、すごく胸に刺さって好きだった。子どもはまだ、よくわからないのだから、と、良くわからなければ触れなくて良い、ということではなくて、良くわからなくても、触れてみる機会があるというのが、大切なことのように思う。その時にわからなくても、きっと違和感が体験として残るだろうと思う。その体験が記憶に残れば、いつか振り返って腑に落ちたりするだろうと思う。そういう、長い時間をかけて咀嚼していく体験があるのは面白いことだと思う。私は子供時代を振り返って、自分がどうだったか、正確にはわからないけれど、もしかしたら、そもそも、「子どもにはわからない」ということ自体が、子どもの理解力を見くびっていて、誤りなのかもしれないとも思う。

しずると天竺鼠とネタ

しずると天竺鼠がコントを披露して、コントの一つはお互いに台本を交換して上演してみるという面白いライブ。企画のコーナーも予定していたようだけど、コントが長引いて、ナシに。しずるは、今年(2015年)の夏の単独ライブで披露していた、絵に描いたような泥棒が登場するコンビニのコントと、舞台袖に捌けると時間が飛ぶコントと、バイクが盗まれるコント。天竺鼠は、キャッチボールをするスーパーカーのコントと、エアコン修理のコントと、空気椅子でテストを受けるコント。しずるは天竺鼠の空気椅子でテストを受けるコントを、天竺鼠はしずるの絵に描いたような泥棒が登場するコンビニのコントを交換して上演。すっかりしずるが好きで、コントをメインにやるライブや、トークライブは今後もなるべく観る。

東京コントメン

ASH&Dの事務所ライブの東京コントメン、初めて観た。THE GEESEは、2015年5月の単独ライブで披露していた、逆精神と時のカラオケのコント。THE GEESEが歌って踊るのが愉快。ラブレターズは、TV番組・なんでも鑑定団の鑑定士を題材にしたパロディ的コント。鑑定中のシーンでかかるMが度々かかるのが、妙な雰囲気を醸し出していて面白かった。シソンヌは単独ライブ『trois』で披露していた野祭のコント。何回か観ているけれど、今まで観た中で一番面白くて引き込まれた。きっと何度も上演することで、コントが熟してくるとでも言ったらいいのか、演技の熱量に持って行かれた。ジグザグジギーは、居酒屋の新人研修のコント。これは、キングオブコント2015の準決勝でも披露していて、私はこのコントは、宮澤さんの台詞の調子が大好きで、爆笑したコントだけど、やっぱり面白くて好きだった。新人コントメンという枠では、ママスパパスというコンビがとても面白かった。ヘリで逃走しようとする窃盗犯と、警部のやり取りをコントにしたものだが、窃盗犯の決め台詞が、ヘリの飛行音がうるさくて、聞こえない。しかし、窃盗犯と警部は、逃げること・捕まえることは二の次に、お互いの台詞を聞き取ることを再優先になんとかコミュニケーションを図ろうとする…というような、コント。演技が堂々としているし、コントの展開もとても丁寧なつくり。本当に新人なんだろうか。今後も注目していきたいコンビ。

テアトロコントvol.2

『テアトロコント』は渋谷コントセンターが新しく初めた公演。これまでの渋谷コントセンターでの公演の、30分尺という持ち味はそのままに(30分尺が持ち味の渋谷コントセンターについては、過去記事を参照)、演劇ユニットと、コントユニットを競演させた新たな公演。こういうのを待っていたという人は少なからずいそうだと思う。1回目は、ナカゴー、トリコロールケーキ、巨匠、ロビンソンズ。今回は、東葛スポーツ、玉田企画、マッハスピード豪速球、マツモトクラブ。マツモトクラブは、一人ながら、とても演劇的だった。演劇的というのは、どういうことか、よく考えてみたいと思った。マツモトクラブを観る限り、人数の問題ではなさそうだ。並列に観てみると、演技の質の差が、演劇的か否か、左右するようにも思った。玉田企画は、演劇の公演の稽古を行う稽古場の様子をメタ的に描いた30分。演出家の指示が飛んでもない方向へ逸れていくという、なんだか小劇場演劇のわけのわからなさを皮肉ったような面もあり、面白かった。東葛スポーツは、初めて観て、興味を持った。公演に足を運んでみたい。マッハスピード豪速球は、今回も30分のコント(おそらく新作)を上演していたことに、気概を感じた。彼らの過去に行った30分のコントも、いつか再演してほしいと思った。

9月に劇場で観たもの(2015年9月)

9月2日 しずるのトークライブ(阿佐ヶ谷ロフトA )
9月6日 『果てまでの旅』青年団リンク・玉田企画(アトリエ春風舎)
9月6日 『TanPenChu-♥』表現・さわやか(赤坂レッドシアター )
9月7日 『坂巻キャノンボール』マッハスピード豪速球(ユーロライブ)
9月10日 うしろシティのライブ(新宿角座
9月11日 フライデーナイトライブ(関交協ハーモニックホール)
9月12日 芸人狼北沢タウンホール
9月19日 テアトロ・コントvol.1(ユーロライブ)
9月24日 疲れた夜は笑わせて(ルミネtheよしもと
9月25日 Big Comic Films(ユーロライブ)

 

しずるのトークライブ

8月に観た『吉祥寺マチェーテ』がとても面白かったので、どんなコンビなのか興味がわいて、観に行った。コントでも、二人ともが動機も行動もしっかりあるような役柄が多いので、きっと二人とも個性が強くて、しかしながら息のあったコンビなのだろうと思っていたけど、そんな感じだった。ゲストが囲碁将棋。同期らしい。冴えない学生時代の話で盛り上がっていた。

人狼

芸人が人狼をやっているのを観るライブ。うしろシティの活躍に沸いた。金子さんはやっぱり冴えてると思う。

疲れた夜は笑わせて

ピクニックというピンの芸人さんを初めてみた。面白くて興味を持った。よしもとに所属していて、よしもとの公演以外であんまり見ない人の中には、まだ知らないけど面白い人達がたくさんいそう。

Big Comic Films

ルシファー吉岡さんとマツモトクラブさんの合同コント公演。ピンの二人が、二人でコントを行う。とても面白かった。そういえば、この公演を観ながら、コントのなかで、その場にいることになっているけど、実際役者はいない役柄を表現するのがうまいなぁ、ピン芸人ならではだなぁ、と今更ながらに思った。

今月は、なんかバタバタしていて、あんまりまとめられてなかった。