2015年8月のしずる単独ライブ『吉祥寺マチェーテ』について

しずるの単独ライブ『吉祥寺マチェーテ』を2015年8月12日(水)に観ました。観終えた後にノートに書いていたものを、今更だけど書き起こして上げておこうと思います。

8月に劇場で観たもの(2015年8月)という記事で書いたことの引用

しずるのコントを劇場でみたのはこれが初めて、というか、彼らのコント自体腰を据えてきちんと観たのが初めてだったのだけど、ものすごく面白かった。すでに、下半期に観たライブのベスト5に入るだろうという確信があります。どんなコントをする人たちなのか、あまり知らなかったのでDVDを何本か買いました。これから観ていく予定です。会場が吉祥寺シアターという、普段私は青年団の公演を観に足を運ぶ劇場。上演されたのも、"劇場で"観ることの面白さがつまった、演劇的な緊密なコミュニケーション、演劇的な演出、舞台上での遊びに富んだ、素晴らしいコント公演でした。今回のコント公演は、作・演出が池田一真さんだそうですが、どうやらコンビの両者ともにコントの書き手のようで、そんなコンビがお互いの作家性を尊重してなのか、今回は池田さんの作・演出で統一したようで、そういう創作において客観的な判断で分業の試みをするコンビなのかな、という点でもとても興味深く思っております。

各コントの概要(ネタバレです)

コントのタイトルは、村上さんがTwitterでコントリストの画像を上げていらっしゃったのでそれに準じました。

コントの内容について、記憶違いがあるであろうことをご了承ください。

(コントの内容についての記載のときは敬称略)

独裁者

熱弁し始めると、何を言っているのか不明瞭になる独裁者(池田)が演説するコント。何を言っているのかわからないのだけど、同調する側近らしき村上。

何を言っているのか、本当に理解していなくても同調するという人々への皮肉っぽくて面白い。

ボウリング

男二人がボウリングをしている。池田は連続でストライクを出しており、次もストライクを出せるのかどうか、というテンションの高いシーン。しかし、熱っぽいのは当の本人(池田)ではなく、友人の村上の方。連続ストライクを目の当たりにして、村上は自分のことのように緊張しており、気持ちを落ち着かせようと必死。一方、池田は、まぐれだ、次はそうはいかないだろう、と平静な様子。しかし、いざ投球、となると、真剣な表情を客席に向ける。緊張の必要のない村上が、「いやちょっと待って、気合を入れ直す…」と言って池田の投球を中断させる。池田は平静を装っているが、本当は連続ストライクは真剣に達成したい。緊張していることを意識すると強張ってしまうので、あえてゆるく振舞っていたのだった。何度目かの投球で失敗してしまう池田。これまでの無関心すぎる振る舞いから、村上に「こいつは本気じゃない」と思われてしまい、失敗した途端、蔑ろに扱われてしまう。一方村上は対照的にスコアを伸ばしていく。村上も連続ストライクが懸かる。池田の投球は自分の集中を削ぐだけの邪魔なターンとなってしまう。そのことをおくびにも出さない村上…

ボウリングで投球する時の表情って、そういえば一緒にボウリングに行ってる人も見えない。その背中しか見てない。コントでは平静を装っていた池田さんが、投球時にはうってかわって真剣な表情になる、という落差は、観客にしか見えない。面白かった。

弾抜く

右足に銃弾を打ち込まれた池田。村上と緊迫しながら下手から入ってくる。ドラマチックな台詞回し。舞台中央のソファに座り、池田に落ち着けと諭す村上。傷の手当をするつもりであるということがわかる。この家で何人も手当をし救ったという村上の言葉に安堵する池田。しかし、村上は手当てを始めようとしない。家着に着替え、手洗いうがいを行う。そして洗い物をはじめる。おかしいと思い始めた池田。しかし、やらないと気がすまない、あとコップだけだから、と丁寧に作業を終える村上。ようやく手当をはじめるのか、と思いきや、また更に別なことをはじめる村上。冷蔵庫の霜取り。「今日やるべきこと」と決めた全てを行わなければ気がすまない村上。放置される池田。生命の危機に瀕している。ようやく村上は、白い布を持ってくる。池田に布を渡す村上。「お前が施術するのではないのか」と聞くが、洗濯物をたたむタスクが残っているので自分でやるように言う村上。理不尽さに怒り戸惑いながらも止血する池田。銃弾を出さなければならない。しかし村上はまだ洗濯物をたたんでいる。ナイフで出せ、と指示だけする。早くしなければ命が危ないので仕方なく自分でやろうとする池田。ナイフはキッチンだ、キッチンに入るときは必ずスリッパを履け、と細かな要求をし、全くルールを譲らない村上。怪我を庇いつつキッチンへ移動する池田。池田はナイフを手にするが、良く火で炙れ、よく炙らなければ化膿する、と村上。恐る恐る銃弾を出さんと挑む池田。そこに洗濯物をたたみ続けている村上からタオルが投げられる。口に咥えろ、死ぬほど痛いから、と。それならお前がやってくれ!と池田は頼むが、村上は日々のタスクが終わらない。なんとか自ら弾を摘出した池田。あとは止血剤を塗ってカーゼで傷を塞ぐだけ、必要な道具は全て向こうの部屋に揃っている。これもまた池田に自分で取りに行かせる村上。村上は掃除機を持ち出して部屋を掃除。施術を終えて満身創痍で中央のソファに座る池田。村上に「考えたか?」と問われる。「何が?」。この部屋に入ってはじめにソファについた時、村上が「傷の手当は俺がする」というのに対して、池田「じゃあ俺はどうしたらいい?」と聞き、村上に「お前をこんな目に合わせたヤツにどう復讐すればいいか考えてろ」と言われていたのであった。結局銃創の手当を何もかも自分でやった池田。命に比べれば瑣末なことを優先させていた村上。今更「考えたか?」と再び聞かれ唖然とする池田。しばらく村上を見つめて「今、考えてる…」…

臨場感、緊迫感、飽きずに惹きつける牽引力があるコント。冒頭がドラマチックで切迫感のあるシーンから始まり、熱っぽい演技に期待感が高まる。池田さんの状態にどんどん負荷がかかっていき、一方少しずつ手当が進んでいくのも時間の経過に臨場感があって面白い。村上さんがタオルを投げるシーンがとても好き。その場で起こりえそうなこととしての生々しさがあった。

パチンコ

池田の家に池田と村上が入ってくる。パチンコ帰りの様子。今日以降、金輪際パチンコはやらないと話す二人。パチンコをやめると決めたら体が軽くなった、パチンコをやめたら視界がクリアになった、などとはしゃぐ二人。パチンコの話は今後一切やめようという話になる。パチンコの替わりにジムに行く、区のジムなら一日300円。池田はジムに行くことを想像し、楽しみにしだす。しかし一日300円というやすさをパチンコの出費と比較し熱弁を振るってしまい、パチンコの話は金輪際しない、という禁を破ってしまう。自分だけパチンコの話をしてしまったので、村上にも何か1つパチンコの話をするように頼む。そこで村上も、話をしようとし始めるのだが、村上は感情が高まっている様子で、緊張感のある空気に変わる。ようやく切り出した内容は、いつも池田と行くと負ける、池田だけパチンコをやめてくれないか、というもの。心底池田が原因で負けると思っているようで、切迫した要求。友人だった二人が、村上が訣別を言い渡したことで関係が変わっていく。涙する池田。村上は引っ越すとさえ言う。引越し先すら言わない村上。さらに帰り際に「またな」と言う池田に対して、頑なに「じゃあ」「また」などまた会うことを予期する言葉を一切使わない村上…

和やかな談笑ムードから、村上さんの感情が一変することで、二人の関係がガラッと変化してしまうのが面白い。

親と子

父親(池田)が仕事から帰宅すると、高校生の息子(村上)が迎え出る。何やら言いたげな雰囲気の中「母さんは?」と息子に聞く。「向こうで夕飯の支度。」父に話があると切りだす息子。父は夕食を食べながら聞こうと提案するが、ふたりきりで、と要求され、外に出るか、と親子で出発する二人。上手から下手袖へ。下手袖から上手袖へ移動しつつ、「何も聞かないの?」「言いたくなったら喋ればいい」というような会話。上手から下手袖へ再び移動しつつ、あそこの中華屋へいかないか、という主旨の会話。息子「でも母さんのカレーは?」父「母さんのカレーは水っぽくて好きじゃないんだ」息子「父さんのそんな面初めて見た」というような談笑。そして下手袖へはける。次に下手袖から現れるときには中華料理を食べ終わった後となっている。美味しかった、お腹いっぱいだ、という会話。袖へはけると時間を省略することになる、というコントの構造が明らかになる。上手袖へ向かう間に、息子が話を切り出す。「実は…」と話し始めると同時に上手袖へ。そしてまた上手袖から登場。「そんなことがあったのに何もできなくて」と観客は原因の詳細は分からないが友人に対して何かしらの後悔があったことだけを知る。「それで…」と言いながらまた二人は下手袖へ。そうしてまた下手袖から再登場。時間が省略されて、その間に関係性が一変している。父は息子に対して怒りの様子。「なぜ友人を守らないんだ!」と息子の不誠実を責める様子。弁解する息子。「これには訳が…」とまた上手袖へ。袖へはけ、再登場する時には二人の関係が変化している。和解、決裂を繰り返すが、やがて家に帰ろうとする二人。不意に父の蹴った石が何かに当たる。ヤクザらしき男に引っ張られ、また上手袖へ…(詳細省略)

親子の会話自体も、省略された時間を想像させるのもとても面白い。舞台上で起こる出来事が、まったく停滞しない。舞台上での時間の経過の構成がとても面白いし、少しずつ飛躍させているが観客をうまく誘導しながらなのがまた巧妙。

泥棒

コンビニの店員(村上)と、絵に描いたような泥棒(池田)。泥棒の風体の池田はアルバイトをはじめる模様。唐草模様の風呂敷を背負い、見事な泥棒ヒゲ、繋がった眉、黒い上下のスウェット。風体だけではなく喋り方も板についている。一人称「あっし」語尾「〜でさァ」…

コミカルで楽しいコント。

バイク

暗転したまま、二人の会話がスピーカーから聞こえ始める。待ち合わせて落ち合った二人。どうやら池田が最近購入したバイクを村上に見せる約束をしているらしい。池田はバイクに乗るために気合の入った格好で現れた模様。はしゃぎながら駐輪場へ向かう二人。池田が、友人が最近この付近で自転車のサドルを盗まれたという話をはじめたことから、バイクの盗難を心配し始める。しかし、まさか盗まれることはない、という前提で、冗談を言い合いながら進む二人。二人がまもなく駐輪場へ着くというあたりから、舞台が徐々に明転。舞台上にはバイクの車輪が二つ。立ち尽くす二人。スピーカーから流れる二人の会話はどんどん駐輪場に向かってくる。この先に待ち受けている悲劇を知らず、ほんの冗談のつもりでバイクが盗まれたら、と話す二人。会話が舞台に追いつく。立ち尽くす二人。二つの車輪。走り去る村上。車輪の真ん中で、バイクに跨るポーズの池田。暗転。

このコントの面白さは、舞台だから、という感じが特に強くて好き。小説でも映画でもなく舞台だからこそってかんじがある。

錦織

村上の家に池田が訪れる。バイトを数日単位でやめている池田。今回もアルバイトをやめた様子。そんな池田になにか言いたそうではあるが、池田の話を丁寧に聞く村上。なぜアルバイトを辞めたのか、それはテニスの錦織選手というおよそ自分とはかけ離れた存在への心配からだった。海外へ行くのにちゃんと寝られているのか、水は安全か、などと、自分のスケールに合わせて心配する。冷ややかな間でありながら真摯に聞く村上。しかしついに「自分の心配をすべき」と反論に出るが、池田には通じていない様子…

このコントはなんだか、有名人・芸能人に対するファンの過度な好意を皮肉っているように見えて面白かった。相手を慮った好意的な気持ちの「心配」でも、全く異なる尺度で斟酌されても「そういうことじゃないんだけどな…」と感じることもあるだろうな、って思う。

椅子に縛られている村上。池田に追い詰められている。外部から入り込んだ村上が、ヤクザの組員を見事に騙して組を解体させたらしい。女として組に入り込み、惚れさせ、告らせ、断り、組を離れさせるという手法。しかし舞台上の村上はおよそ女に見える風体ではない。明らかな女装といった格好。カツラすら組への潜入初日から忘れてしまっていたという。そんな成りではあるが「私は女です、信じてください」の一言で騙し通せたという。組を解散に追い込んだ村上に銃口を向け殺そうとする池田であるが彼もまた村上を女と思い込み惚れていた…

現実的には「嘘だろう」って疑念を差し挟むようなところでも、なんだか嘘が成立してしまって話が進んでしまう、バカバカしくてコミカルで楽しいコント。バカバカしくも、人の言葉を吟味せず鵜呑みにしてしまうことの皮肉なんじゃないか…と思えてくるのが面白くて好きな感じ。

 

付記

この『吉祥寺マチェーテ』で見たしずるのコントは、登場する人物が二人ともそれぞれ個が立っていて、二人がそれぞれの動機を持っていて、会話をしあって物語が進む。そういう会話が舞台上で行われているのを、リアルタイムで演者を通して生々しく、呼吸とか、台詞を切り出す間とか、人と人とのコミュニケーションの再現を目のあたりにするっていう感じが好きだから、私は演劇やコントが好きなんだなと思う。そういう好きなものがしずるのコントにたくさんあった。二人の熱量が高めの演技も好きだった。

今回の単独ライブは作・演出が池田さんだったけど、こののち2015年11月20日(金)に「しずる村上が5人とコント」で村上さん作のコントも見た。5人の芸人さんと村上さんがコントをする企画だけど、相手に合わせて色々な種類のコントが書けるのがすごい。

また、2015年10月16日(金)に『しずると天竺鼠とネタ』というライブを見たら、この単独でのコント『泥棒』と『バイク』と『親と子』をやっていた。結構長めのコントだけど、再演する機会もあるんだなと思った。どのコントも面白かったけど、特に『弾抜く』っていうコントをもう一度観たい。

『パチンコ』というコントは、2015年キングオブコントの準決勝でやっていた。

 

以上

 

日時:
2015年8月12日(水)19:00開演
2015年8月13日(木)15:00開演 / 19:00開演
2015年8月14日(金)14:00開演
会場:吉祥寺シアター
料金:前売り4,000円

2016年の活動が特に楽しみな6組

2016年、コントのライブとコントの単独公演をメインに観る予定です。

2016年のコント公演が特に楽しみな4組

かもめんたる

コントにかけては他の追随を許さない圧倒的なコンビなのは間違いないので、この二人が自由にコントを作り続けられる環境にあってほしいなぁと切に思います。劇団かもめんたるの活動については、飛躍を期待しています。演劇を主軸に活動している劇作家にも衝撃を与えられるような作品がきっと作れる人だと思っています!

犬の心

『2015犬』での、「当然単独ライブはやります」という押見さんの言葉に期待が止まりません!真面目に創作するコンビだと知りました。とにかくコント、しかも長めの、会話劇系コント、とても好きです。このクオリティの公演をコンスタントに続けるコンビがいることが明るい未来を示している。

シソンヌ

ドライな笑いが多い中、ドライさとウェットさを兼ね備えたコントをやるコンビ。ウェットさを含む笑いを作るコンビは、今他にあんまりいないんじゃないかなと思い、改めて2016年が楽しみ。着実に飛躍しているシソンヌに期待が止まらない。将来的にお笑い界から岸田戯曲賞を獲るかもしれないのはじろうさんなんじゃないか。彼らのコントの延長線上に演劇がありそう。コントも演劇も本当はグラデーションで境界はないのです。

しずる

単独ライブに行ったらコントがとても面白かった。面白かったので、他の単独のDVDも観たけど、多作で多彩。必ず観に行こうと思う。

2016年この漫才師だけは確実に観たい1組

コマンダンテ

この二人の漫才を観る機会があるならライブでもテレビでもネットでも貪欲に観たいと思います。

カテゴライズ不能のパフォーマー1組

オリエンタルラジオ

2016年は、どのような活躍をされるのでしょうか。圧倒的なチャーミングさで今年も魅了してくれるのでしょう。ライブでもテレビでも最高のパフォーマンス!眩しい。

 

2016年も楽しい年にしたいです。

2015年を振り返り

1月

18日(日)かもめんたるの単独公演『抜旗根生~ある兄弟の物語~』を観た。「ドリームクラッシャー」というタイトルの、宝石屋の店員と副社長のコントが刺さったのを覚えている。夢を追いかけている、バンドマンの夫を持つ妻(宝石屋の店員)が、宝石屋の副社長に、売れない夫について散々なことを言われるコント。こんなコントを書けるのはきっと似たような体験をしたからじゃないか、などと思った。

3月

7日(土)『ワラインプロ』に初めて行く。即興から、得意な演技の感じとか、普段の振る舞いとか思考とかが少し見えるような気がして、以降よく観に行くライブとなる。キース・ジョンストンという人を知る。「インプロ」という本を買って読む。「ステイタス」という切り口がとても面白い。

20日(金)デブッタンテのライブ。うしろシティのこのライブのための新ネタ、東京のお父さんのコントがすごく面白かった。しかし、私が観ている限り、このコントはこの日限りでやっていない。

21日(土)サタデーアフタヌーンライブに初めて行く。オフィス北野のライブに初めていく。オフィス北野が好きになる。

4月

4日(土)五反田団の偉大なる生活の冒険を韓国の劇団が上演するのを字幕付きでアトリエヘリコプターにて観劇。アフタートークで韓国の演出家と俳優が、この脚本にとてもシンパシーとリアリティーを感じているということを聞く。韓国の若者も日本の若者も似たような現在を生きているのだと思った。

25日(土)『POISON GIRL BANDコマンダンテのライブ』を観る。THE MANZAI2014以来気になっていたコマンダンテを初めて生で観た。以降、コマンダンテは東京に来るときにはほとんど観に行くことになる。また、この日以降POISON GIRL BANDも好きになる。

5月

1日(金)THE GEESEの単独公演『ロイヤルストレートフラッシュバック』を観る。2015キングオブコントで決勝に行くことになる、THE GEESEのコント劇的ビフォーアフターのコントが面白かった。捨てた童貞が帰ってくるコントも面白かった。

6月

20日(土)犬の心単独ライブ『梅雨犬』を観る。「唐突」というコントがすごく好きだった。このコントをベースに改定したコントをキングオブコント2015の準決勝でやることになる。私は元のコントの方が好きだった。犬の心の単独は毎回観たいと思うようになる。

同じ日に円山スクランブルエッグス『円山町再開発』を観る。今年のベスト10に入りそうな公演をこの日に2本観る。2015年中最も素晴らしい一日

23日(火)誕生日にシティボーイズ『燃えるゴミ』を観る。S席を取ればよかったという後悔をする。

7月

5日(日)ナショナル・シアターライブ『スカイライト』を観る。凄まじい完成度と見応え。こんな公演をザラに観られるような演劇環境に日本がなったらいいなと思う。

8月

12日(水)しずるの単独公演『吉祥寺マチェーテ』を観る。ボウリングのコントと、銃創の手当をするコントが面白かった。全て見応えがあった。私の好きな会話劇系のコントだった。しずるの単独ライブも今後必ず行こう、と思う。

18日(火)『かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.2』に行く。小さな会場で、無理しない振る舞いをするかもめんたるの二人にとても好感を持つ。この二人が無理せず得意なことを存分に活かして生きていけるような世界であってほしいと思った。

23日(日)『コマンダンテ2015in神保町』でコマンダンテを観る。二人が東京に来るのがとても楽しみな出来事。漫才が本当に面白い。

27日(木)、28日(金)キングオブコント2015の準決勝。全ての組が面白くて興奮した。GAG少年楽団が気になりだす。

11月

3日(火)犬の心副音声ライブを三本続けて観る。犬の心がコントにまじめでさらに好きになる。

28日(土)ユニットコント弱い人たち『強くなりたい』を観る。相田さんやマツモトクラブさんが、漫才や一人コントではない形でコントをするのが貴重に思われた。相田さんの演じる人物は強烈なキャラクターが炸裂していた。狂気的ながら愛敬があった。

12月

25日(金)RADIO FISH PARTYでオリエンタルラジオの一年間の活動の結実を見届ける。2015年はオリエンタルラジオに本当に楽しませてもらった。大ファン。

26日(土)犬の心単独ライブ『2015犬』を観る。犬の心がすっかり好きになる。『梅雨犬』、『2015犬』、パンフレットを読むと、目標の存在としてシティボーイズの名前が度々出てくる。さらに好きになる。

27日(日)さらば青春の光単独ライブ『ノリノリツアー』を観る。さらば青春の光の力強さに魅了される。東口さんの適当な感じのノリが面白い。

29日(火)シソンヌライブ『deux』を観る。『deux』は、初演を観ていて、その公演自体のクオリティに驚いて、すごく心に残っていたのだけど、その気持ちを超えてきた。最後の葬式の挨拶のコントがすごく印象に残った。このコントはシソンヌというコンビの、他のコントのコンビと違う色合いを強く示したコントだと思う。

2015年は、お笑いの公演を133本、 演劇を26本、映画を3本、美術館の展覧会を1本観ました。楽しい一年でした。

12月に劇場で観たもの(2015年12月)

12月1日 倉本美津留の太鼓判(20:30の回)(ユーロライブ)
12月2日 シベリア少女鉄道『Are you ready? Yes,I am.』(駅前劇場)
12月3日 いやKAO!(新宿角座
12月5日 THE GEESE単独ライブ『正しいピクニックのやり方』(小劇場B1)
12月5日 ワラインプロ18年末スペシャル第三部~かもめんたる槙尾生誕祭(新宿バティオス)
12月8日 城山羊の会『水仙の花 narcissus』(三鷹市芸術文化センター)
12月12日 よしもと軍VS東高円寺シャイニングアンサーズ(新宿バティオス)
12月13日 OsakaManzaiGrandBattle~vs TokyoManzai~(ヨシモト∞ホール
12月13日 OsakaManzaiGrandBattle~vs Tokyoコーナー編~(ヨシモト∞ホール
12月19日 ジンカーズ単独ライブ『TIME』(ユーロライブ)
12月19日 ロビンソンズ単独ライブ『微笑』(しもきた空間リバティ)
12月21日 友達のパパが好き(ユーロスペース
12月23日 シソンヌライブ『une』(赤坂レッドシアター)
12月25日 RADIO FISH PARTY(渋谷QUATTRO)
12月26日 犬の心単独ライブ『2015犬』(座・高円寺
12月27日 さらば青春の光単独ライブ『ノリノリツアー』(草月ホール
12月29日 シソンヌライブ『deux』(赤坂レッドシアター)

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

城山羊の会『水仙の花 narcissus』

山内ケンジさんが岸田戯曲賞を受賞した『トロワグロ』は、戯曲を読んでいたけれど、城山羊の会は初めて観た。面白かった。恋愛は自分勝手でバカバカしくて可笑しい。

Osaka Manzai Grand Battle ~vs TokyoManzai~・~vs Tokyoコーナー編~

コマンダンテが出るので観に行った。大阪の漫才師は、コマンダンテ、インディアンス、プリマ旦那マルセイユ祇園の5組、東京の漫才師はニューヨーク、ラフレクラン、鬼越トマホーク、ゆにばーす、ベイビーギャングの5組。披露した漫才を観客が投票して順位をつけるというシステムで、私はコマンダンテ、ゆにばーす、インディアンスが面白かったので投票しました。

大阪の漫才師は、コマンダンテ以外ライブでは初見だった。インディアンスがとても面白かった。ジョギングをしていると、次々と、背後から色々な人が話しかけてくるという漫才なのだけど、話しかけてくる人のチョイスがちょっと狂気じみている感じがあって面白かった。どんなコンビなのかと、帰ってからYouTubeなどで他の漫才を観てみたら、ボケの田渕さんがかなりのギャガーで明るいタイプで、意外に思った。二人ともなんだか人の良さそうなコンビだった。この漫才をもう一度観たい。

プリマ旦那の漫才は、ボケの野村さんが、普通の人が気にしないような点に細かい指摘を入れたり毒づいたりするのが鋭くて面白かったのだけど、その対象がアンパンマンで、個人的にはもうちょっと、他の人が指摘しにくそうな対象だったり、現代的な新しいものが対象だったら、もっと好みだったかもしれない。狙っている客層が若いのかなと思った。ツッコミの河野さんは、コーナー編でのMCをやっていたけれど卒がなかった。

コマンダンテは、M-1の三回戦で披露していた、安田さんがボケない漫才。やっぱりこの漫才は面白い。

ゆにばーすは、これまでの人生を人生ゲームに見立てた漫才。私はなんだかこのコンビが好きだ。

コーナー編では、大阪勢の勢いの良さ、臆さなさ、屈託の無さが、東京勢と比較して抜きん出ていた。東京勢では、ニューヨークの嶋佐さんの個性的で独特なボケ方がひとり際立っていた。

RADIO FISH PARTY

オリエンタルラジオダンサーを率いて結成しているユニット・RADIO FISHが歌って踊るクラブイベント。このイベントは、去年末のオリエンタルラジオのトークライブで2015年の最終目標として掲げたライブであり、彼らの活動の10周年を記念するライブでもある。つまり、トークライブで示した一年間の活動方針を有言実行し、最終目標を完遂したのです。その過程は、月一のトークライブで観ることができた。私にとって二人はアイドルのような存在となり、心底一挙手一投足を「カッコイイ」と思ってしまうし、パフォーマンスを尊敬しているし、大ファンとなってしまっているのであった。二人が歩んできた道のり自体に物語を感じ、その存在自体のファンというのは、これはまさしく「アイドル」なのだと思った。ちなみにゲストには2700、佐久間一行、はんにゃ、あやまんJAPANが登場した。ひのでも前説や、その他アシストをしていた。

シソンヌライブ『une』『deux』、犬の心の単独ライブ、さらば青春の光の単独ライブは別に記事を書きたいと思う。

M-1グランプリの感想

M-1グランプリをリアルタイムで観てました。

お笑いの中でも、特にコントが好きだと自覚してから、漫才は、「漫才」に対する熱量として門外漢な感じがあって、特に言うことがない感じがしている。私の考えとしては、作り手以外が何かを言うことを否定するつもりはない。作り手以外が何かを言うことを拒否しているような、遠慮しているような分野は、窮屈だと思う。文学にしろ、演劇にしろ、鑑賞者が好きなように何かを言えることが分野の裾野を広げると思う。にしても、そんなに熱量があるようなないような…と思いながら、しかし否定的なことを言うわけではないので素直な感想を書いておこう。

M-1グランプリ2015は、私は予選自体を観に行ってはいないので、どうやってもテレビで放送されたものだけを受け取ってアレコレ考えることになる。キングオブコント2015のことを念頭に置くと、M-1グランプリも、予選から観てきた人にとって、会場での盛り上がりとテレビを通しての放送と、何か差があったかもしれないな、と思うけれど、私はその差については鈍感である。

M-1グランプリ2015で一番に感じたのは、観客がとても楽しんでるな、ということだった。歓迎ムードだ、ということだった。どの組に対しても、楽しんで観ている感じがあった。そういう雰囲気の中披露する漫才は、調子が乗るだろう。だから今回のM-1グランプリに出た漫才師は、全て面白く感じた。実際、決勝に残るだけあって、どういう賞レースでも、決勝の組は面白いことは間違いないと思っているけれど、見え方として「面白いもの」として全国に放送された感じがあった。最近、観客の反応で「面白さの見え方」はどうにでもなる、のではないか、という考えを強めつつある。どうにでもなる、っていうのは言い過ぎだけど、観客の反応には割と大きな影響力があると思う。

出演順が、トップバッターがメイプル超合金、2番手が馬鹿よ貴方は、だったけれど、この二組が中盤に来ていたら、番狂わせだっただろう。どのコンビも楽しく観たけど、私の好みは和牛でした。理屈とそれに対する返しの応酬、ああ言えばこう言う、会話が続いていくのが好き。水田さんの主張は行き過ぎていながら、根本的に同意できて共感する。ハライチの、牛の頭を10個とか鼠の皮で作った袋とか面白かった。そういえば、この漫才は、デブッタンテのライブのために作ったネタなのではなかっただろうか?デブッタンテのライブのために作ったネタでうしろシティキングオブコント決勝に進んでいたし、見応えのあるライブだったなと振り返る。優勝したトレンディエンジェルは、圧倒的な受け入れられ感があった。楽しかった。心掴んだ感じがあった。細かいこということが野暮ったく思える。

敗者復活戦も観ていた。さらば青春の光POISON GIRL BANDで散々悩んだけど、POISON GIRL BANDに入れた。今でも思い返して悩む。さらば青春の光は、コントしかあまり観たことがなかったけど、こんなに面白い漫才するなんて。

以上

11月に劇場で観たもの(2015年11月)

11月3日 犬の心副音声ライブ『2月犬』(座・高円寺2)
11月3日 犬の心副音声ライブ『冬犬』(座・高円寺2)
11月3日 犬の心副音声ライブ『梅雨犬』(座・高円寺2)
11月4日 しずるのトークライブ(阿佐ヶ谷ロフトA)
11月7日 ダブルブッキング単独ライブApology〜謝罪〜(ユーロライブ )
11月13日 フライデーナイトライブ(関交協ハーモニックホール )
11月14日 夜ふかしの会『a man lingers in blue midnight』(シアターモリエール
11月16日 東西爆音ネタバトル「HANG OUT」(ルミネtheよしもと
11月21日 しずる村上が5人とコント(ユーロライブ)
11月21日 かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.3(喫茶茶会記 )
11月22日 テアトロコントvol.3(ユーロライブ)
11月23日 ラバガ男子(ユーロライブ )
11月28日 弱い人たち『強くなりたい』(ユーロライブ)

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

犬の心副音声ライブ

2014年2月の『2月犬』、2014年12月の『冬犬』、2015年6月の『梅雨犬』という3本の犬の心の単独ライブの映像を流しながら、犬の心とゲストがトークをするという公演。『2月犬』ゲストは、佐久間一行、ガリットチュウ熊谷、グランジ五明、『冬犬』ゲストはTHE GEESE、『梅雨犬』ゲストはスパローズ。単独ライブの映像をガッツリ観るライブになるのかと思い行ったが、トークがメインとなった。トークがメインでも、内容が面白くて、とても良かった。単独ライブの映像は、また別途それを観ることを主とした公演を是非やってほしい。私は単独ライブは、『梅雨犬』のみ観ていた。

特に面白かった回は、THE GEESEがゲストの『冬犬』の回。THE GEESEは登場時より、犬の心の単独ライブの映像を観ることが楽しみといった様子だった。回の序盤は、THE GEESEはトークよりも映像をみてばかりで、尾関さんの多少不気味な笑い声がマイクを通して会場に響き、押見さんが戸惑うという流れがあり、コントが好きな様子が伺えたTHE GEESEに好感を持った。また、KOCの話にもなっていた。押見さんは、これまでのKOCは「台本の勝利だった」と表現していた。現役の作り手が、KOCをそのように表現し、捉えているということが興味深かった。しかし今回のKOCは、台本よりも、パフォーマンスの勝利だった、と言っていた。押見さんは、コントにまじめで、単独ライブを観て充分に好きだったけども、輪をかけてとても好きになった。THE GEESEは、普段、ワラインプロ等で観ている高佐さんは、良く喋る印象があったのだけど、この回では高佐さんはなんだか大人しくて、借りてきた猫みたいだったのがまた面白かった。尾関さんがよく喋っていた。尾関さんは押見さんに、コントの話で熱が入った際に「今度泊まりに行っていいですか」と打診して、押見さんを怖がらせていた。そこは、「今度飲みませんか」ではないのか、大きな成人男性に急に泊まりに来たいと言われるのは怖い、とビビる押見さんであった。いけやさんは、性根が真っ直ぐそうでさわやかな人物だ。そのさわやかさという形容詞は、司馬遼太郎の描くさわやかさの印象に近い。

『2月犬』の回では、佐久間一行さんは、よしもとの芸人にとって、心の拠り所なのだ、ということを知る。『梅雨犬』の回では、スパローズが犬の心をいじり倒していて、スパローズは悪ガキみたいで楽しいなと思う。

資料映像でもいいので、単独ライブの映像が欲しいです。鶏が大量に部屋に入ってきて、自殺しようとしていた人が自殺できない、みたいなコントがめちゃくちゃ面白そうだった。

しずるのトークライブ

ゲストがシソンヌ。しずるは東京NSC9期、シソンヌは11期。シソンヌのコンビ結成の流れを知った。NSCの11期の中では、じろうさんは、色々な人と話し顔が広く、輪の中心になる人物で、一人でコントもしていて、同期の中でもはやくから注目をされていたが、一方、長谷川さんはあまり目立たない三軍的存在だったそう。二人同い年なこともあり、良く話すように。誰と組んでもあまりうまくいかない様子のじろうさんの愚痴を、長谷川さんは「その相方とはうまくいきそうにないなぁ」などと思いながら聞いていたそうだ。長谷川さんは、M-1に挑戦するタイミングで、自分のツッコミが活かせそうな相手と組み、NCSで一躍注目株に。周囲に、自分を上手く売りこむことができる見せ方をしようとしたとのことで、とても戦略的な行動。一躍、同期の一軍入り。一方じろうさんも、M-1へ挑戦するために即席のコンビを結成。長谷川さん曰く「二人で別々の漫才をやっている」ような、異質で噛み合わないコンビだった。じろうさんも組む前から「絶対に合わない」と言っていたし、組むはずもない、うまくいかない、と長谷川さんも思っていた。しかし、誘いを断れない性分のじろうさん。即席だし、と言って組んでしまっている。何度目かの失敗で弱っているところを見計らったかのように、長谷川さんからコンビを組む提案をしたそうだ。長谷川さんは、コンビ間のパワーバランスに気を遣っており、スタートから力関係に偏りを持ちたくないという思いから、自分の価値を同期のなかで上手く提示したうえで、コンビのオファーをしたそうだ。戦略的な長谷川さん。コンビを組んだ当初から長谷川さんは、じろうさんの書くものが好きだったが、売れるためにはアレコレ、とコントに口出しした結果、出来上がるコントがどんどんつまらなくなってしまい、これはまずい、と思ってそれ以来口出しをするのをやめたそうだ。なんだかまるで恋愛の駆け引きのようだ、と形容しそうになるが、このような関係は、恋愛にのみ個別的なことなのではなくて、人間関係という類の中に、恋愛という種、コンビという種が存在していて、これは人間関係にあり得べき形なのだと思った。

フライデーナイトライブ

オフィス北野への所属をかけた、公開審査会が行われた注目回。今回は、ランジャタイと、荒ぶる神々が挑戦。なんといっても、注目すべきはランジャタイ、数々の事務所所属を経てきた、根無し草にとって、オフィス北野が終の棲家になるのか否かという今後も含めてその動向に熱い視線が注がれた(と思われる)。各組、2つずつネタを披露し、審査が行われ、結果、二組とも、無事所属に。ランジャタイの漫才は、言葉によって想像させる力がすごい。思いもよらないところへ、イメージを引き上げると言えばよいのか、想像したことがなかったような情景を想起させる力があって、引き込まれる。これは、最近だとAマッソの漫才を観た時にも感じた。オフィス北野には、馬鹿よ貴方はという面白くてとても個性的な漫才師がいるけれど、またさらに別の角度の面白くてとても個性的な漫才師が所属したことになる。やっぱりオフィス北野の若手層への興味が止まらない。

東西爆音ネタバトル「HANG OUT」

爆音で客入れMがかかり、ネタとネタとの合間のMも爆音、という、なぜそんなところに個性を出した、と思う一風変わったネタライブ。上手、下手のスピーカーから流れる爆音。スピーカー寄りの席だった私は若干耳が痛くなった。それはさておき、POISON GIRL BANDGAG少年楽団、プラスマイナス、チョコレートプラネット、コマンダンテ、吉田たち、和牛、ニューヨークが出演。大阪から東京に来るときは可能な限り観に行くことにしているイチオシの漫才師コマンダンテ、漫才をあまり観ないながらよく観に行くPOISON GIRL BANDTHE MANZAIで観て以来気にしている和牛、キングオブコント2015準決勝を観て以来気にしているGAG少年楽団、よしもと若手随一と思っているニューヨークが出るので、観に行った。やはり、コマンダンテは面白かった。美容院の漫才コントをはじめたいのだが、ラーメン屋の漫才コントがはじまってしまうという漫才。POISON GIRL BANDはバトンゾーンの使い方の漫才、和牛は結婚式をぬけ出す女、手料理を振る舞う女へ異議申し立てを行う漫才。GAG少年楽団カラオケボックスで告白するコント。チョコレートプラネットの、氷室京介の医者のコントが大盛り上がりして楽しかった。ニューヨークは、変わったキレ方、変わったヤンキーの漫才。

しずる村上が5人とコント

『POISON吉田が5人と漫才』という、吉田さんが行っているライブを模して、しずる村上さんがコントをやってみたい5人をゲストに迎え、コントを描き下ろして披露するという、とてもエキサイティングなライブ。しかもMCにPOISON GIRL BAND吉田さんを迎える。今回のゲストは、サンシャイン坂田、THE GEESE高佐、佐久間一行、トップリード新妻、東京ダイナマイト松田、この5人とコントを行い、ボーナストラック的にMCのPOISON吉田と漫才を行った。THE GEESE高佐さんとのコントが、なんだか相性が良いように思った。面接をしている、と思いきや、面接コントをしていて、と思いきや、面接コントのコントをしていて、というような、何層もの入れ子構造になったコント(ちょっとうろ覚え)。THE GEESEの『ALTERNATE GREEN』でのCUTっていうコントが、同じような構造だったな、と思う。演者二人とも、肌に合ったのだろうと思う。というか、どのコンビのコントも、すごくしっくりきて、しかも面白い。しずるの村上さんが、相手をよく観て丁寧に書いたのだということがうかがえる。一回きりの上演が、もったいない。もう一度、拝見する機会がありますように、と願う。

かもめんたるコントライブin喫茶茶会記vol.3

かもめんたるの、少人数の観客で行う、なんだかアットホームな茶会記ライブ。合間に行われる二人のトークがすごくいい。肩肘張らない感じで。行くのは2回目。今回は、「理由」、「英会話」、大食いのコント、蛇と童謡と義父のコントをやっていたと思う。

弱い人たち『強くなりたい』

とても面白かったので、別途、記事をまとめて書きたいと思う。

10月に劇場で観たもの(2015年10月)

10月3日 『十一ぴきのねこ』こまつ座紀伊國屋サザンシアター
10月8日 うしろシティのライブ(新宿角座
10月12日 ワラインプロ13(新宿V-1)
10月16日 しずると天竺鼠とネタ(ルミネtheよしもと
10月22日 東京コントメン(ユーロライブ )
10月24日 テアトロコントvol.2(ユーロライブ)
10月31日 ORIENTAL RADIO SPECIAL LIVE(ヨシモト∞ホール

※観たものを全て上記に列挙しているわけではありません。

『十一ぴきのねこ』こまつ座

キャストが魅力的だったのでチケットを取った。猫のホテル中村まことさん、市川しんぺーさん、元猫のホテル菅原永二さんという3人が、十一ぴきの”ねこ”で共演するというのがなんだか興味を惹かれた。3人とも、とても好きな俳優。チラシには「子どもとその付添いのためのミュージカル」とあるので、子どもに寄せてあるのかと思いきや、物語のラストで、十一ぴきのねこたちがたどり着いた場所に力を合わせて建てた国の顛末に驚いた。物語の主人公であった、十一ぴきのねこたちは、それぞれ私腹を肥やし、正直なねこは抹殺されるという、とても現実的な、国の内部分裂が描かれた。物語は、「めでたしめでたし」というわけにはいかなかった。子どものための、だからといって、現実を薄いヴェールで隠したような「めでたしめでたし」にならないところが、すごく胸に刺さって好きだった。子どもはまだ、よくわからないのだから、と、良くわからなければ触れなくて良い、ということではなくて、良くわからなくても、触れてみる機会があるというのが、大切なことのように思う。その時にわからなくても、きっと違和感が体験として残るだろうと思う。その体験が記憶に残れば、いつか振り返って腑に落ちたりするだろうと思う。そういう、長い時間をかけて咀嚼していく体験があるのは面白いことだと思う。私は子供時代を振り返って、自分がどうだったか、正確にはわからないけれど、もしかしたら、そもそも、「子どもにはわからない」ということ自体が、子どもの理解力を見くびっていて、誤りなのかもしれないとも思う。

しずると天竺鼠とネタ

しずると天竺鼠がコントを披露して、コントの一つはお互いに台本を交換して上演してみるという面白いライブ。企画のコーナーも予定していたようだけど、コントが長引いて、ナシに。しずるは、今年(2015年)の夏の単独ライブで披露していた、絵に描いたような泥棒が登場するコンビニのコントと、舞台袖に捌けると時間が飛ぶコントと、バイクが盗まれるコント。天竺鼠は、キャッチボールをするスーパーカーのコントと、エアコン修理のコントと、空気椅子でテストを受けるコント。しずるは天竺鼠の空気椅子でテストを受けるコントを、天竺鼠はしずるの絵に描いたような泥棒が登場するコンビニのコントを交換して上演。すっかりしずるが好きで、コントをメインにやるライブや、トークライブは今後もなるべく観る。

東京コントメン

ASH&Dの事務所ライブの東京コントメン、初めて観た。THE GEESEは、2015年5月の単独ライブで披露していた、逆精神と時のカラオケのコント。THE GEESEが歌って踊るのが愉快。ラブレターズは、TV番組・なんでも鑑定団の鑑定士を題材にしたパロディ的コント。鑑定中のシーンでかかるMが度々かかるのが、妙な雰囲気を醸し出していて面白かった。シソンヌは単独ライブ『trois』で披露していた野祭のコント。何回か観ているけれど、今まで観た中で一番面白くて引き込まれた。きっと何度も上演することで、コントが熟してくるとでも言ったらいいのか、演技の熱量に持って行かれた。ジグザグジギーは、居酒屋の新人研修のコント。これは、キングオブコント2015の準決勝でも披露していて、私はこのコントは、宮澤さんの台詞の調子が大好きで、爆笑したコントだけど、やっぱり面白くて好きだった。新人コントメンという枠では、ママスパパスというコンビがとても面白かった。ヘリで逃走しようとする窃盗犯と、警部のやり取りをコントにしたものだが、窃盗犯の決め台詞が、ヘリの飛行音がうるさくて、聞こえない。しかし、窃盗犯と警部は、逃げること・捕まえることは二の次に、お互いの台詞を聞き取ることを再優先になんとかコミュニケーションを図ろうとする…というような、コント。演技が堂々としているし、コントの展開もとても丁寧なつくり。本当に新人なんだろうか。今後も注目していきたいコンビ。

テアトロコントvol.2

『テアトロコント』は渋谷コントセンターが新しく初めた公演。これまでの渋谷コントセンターでの公演の、30分尺という持ち味はそのままに(30分尺が持ち味の渋谷コントセンターについては、過去記事を参照)、演劇ユニットと、コントユニットを競演させた新たな公演。こういうのを待っていたという人は少なからずいそうだと思う。1回目は、ナカゴー、トリコロールケーキ、巨匠、ロビンソンズ。今回は、東葛スポーツ、玉田企画、マッハスピード豪速球、マツモトクラブ。マツモトクラブは、一人ながら、とても演劇的だった。演劇的というのは、どういうことか、よく考えてみたいと思った。マツモトクラブを観る限り、人数の問題ではなさそうだ。並列に観てみると、演技の質の差が、演劇的か否か、左右するようにも思った。玉田企画は、演劇の公演の稽古を行う稽古場の様子をメタ的に描いた30分。演出家の指示が飛んでもない方向へ逸れていくという、なんだか小劇場演劇のわけのわからなさを皮肉ったような面もあり、面白かった。東葛スポーツは、初めて観て、興味を持った。公演に足を運んでみたい。マッハスピード豪速球は、今回も30分のコント(おそらく新作)を上演していたことに、気概を感じた。彼らの過去に行った30分のコントも、いつか再演してほしいと思った。